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拍手下さった方、ありがとうございますv



↓やはりスネ雷を書いていると悲しい感じになります……

 朝食に呼びに来たスネークがドアを開くと、ジャックは窓の下で膝を抱えたままだった。
「今日は着替えてたのか。少しはやる気になったって事か?」
 普段の朝ならば、呼びに来てもジャックはベッドにいる事が多かったが、寝ていない上に着替えまで済ませているのを見て、スネークは一瞬喜んだ。
「ジャック?」
 震えているジャックの方に気付いたスネークは、床に屈みこんで顔を覗こうとした。ジャックは膝の間に顔を埋めて、スネークから顔を逸らした。
「ジャック…」
 肩を抱こうとするスネークを、ジャックは力なく振り払った。
 ……本当はこの胸に縋ってしまいたいのだ……。それは出来ないと…、自分はそうしてはいけないと思っているジャックにとっては、スネークの腕を拒む事はひどい苦痛に感じた。
 誰かがここに来た…。敵意のある者が自分を狙っている、そう言えばスネークは絶対に力になってくれる。安全な場所を探して、連れ出してくれるかもしれない。
 ジャックは、ジレンマに陥る心を奮い立たせねばならなかった。スネークと離れたくない…、本当の心を知って欲しい……、そう思うジャックと、自分の為にスネークを危険に晒す事は耐えられないと思うジャックが、引き裂かれそうな心の中にいた。
 ……どうすればいいのか……。たった一人で身を守らなければならなかったジャックは、常に自分自身で選ぶしか無かった。それが悪い結果を生む答えだとしても、自分で選んだ事であれば後悔をしても仕方が無いと思ってきたのだ。しかし、今は後悔で済む問題では無い。
 スネークを失う……。
 どちらの答えを選択しても、スネークを失う事に変わりは無かった。
 どうしても強く拒絶する事の出来ないジャックの腕を一纏めにして、スネークは震える体を抱き締めた。
「…いやだ……」
 喉に声が詰まるのは、泣いているせいだ……、本当はスネークを拒絶したくないからだとは、ジャックは思いたくなかった。
「嫌じゃない」
 スネークの声が、低くジャックの耳をくすぐった。ジャックは首を振ろうとしたが、スネークに強く抱き締められていて、ほんの数ミリも体を動かす事は出来なかった。
「ジャック……嫌じゃないんだ……」
 真摯な響きを持ったスネークの声に、ジャックは抗う事が出来なくなった。
 同情でも贖罪でも、ジャックにとってスネークの腕は同じような安心を与える。この腕の中でならば、不遇で片付けるには悲しすぎる子供を解き放つ事が出来るのだろうか……。
 ジャックの腕がそろりとスネークの背に回された。
「…ジャック…」
 スネークの唇が、ジャックの唇に触れた。今までスネークがジャックに与えた口づけの中で、それは一番優しく甘かった……。
「スネーク……」
 顔を上げたジャックの目を、スネークは真っ直ぐに見た。
 ジャックのすべてを受け入れようとする思いが、その瞳の中にはあった。
 啄ばむように口づけたスネークの唇が、ジャックの頬を濡らした涙を拭った。
「ジャック……」
 シャツの中に滑り込んだスネークの手が、ジャックの脇腹を撫で上がった。
「…………」
 ジャックの体が竦んだのを感じて、スネークは悲しいものを感じた。
 プラントでジャックを抱いてしまった事を、スネークは少なからず後悔していた。必死に求めるジャックに絆される形で、スネークは応えてしまったが、彼を抱いてはいけなかったのではないかと思っていた。後になってジャックの生い立ちを知ると、その思いは強くなった。人間関係を上手く築く事の出来ないジャックのような者は、人との関係を突き放すか、…ある種性欲亢進症のようになると言う……。ジャックはその典型のようにスネークには思えた。他人に無関心で、自分にさえ強い関心を持たない。ジャックは攻撃での接触以外は、どうやって人と接触をしていいのか判らないように見えた。そして記憶混濁も起こしていたジャックに誘われるままに、スネークは関係を持ったが、…今ではその時の事を後悔していた。危うい境界線上を生きるジャックは、スネークの庇護欲を掻きたてた。それだけではなく、スネークはジャックの持つ脆さに惹かれた……。姿の美しさに惑わされなかったと言えば嘘になるが、快楽に身を任せながら罪の意識に苛まれるジャックに、スネークは同情以上の気持ちを感じた。
 虐待を続けられた子供は、しばしば虐待をする者では無く、虐待を受ける自分自身に罪を見つけようとする。ジャックもソリダスの絶対的な力の下に置かれ、支配され続けた事で、自分を嫌悪し許す事が出来ないようだった。
 そんな状態のジャックを抱いてしまった事を、スネークは後悔していたのだ。もっとお互いを知って、歩み寄る事が出来てから……、それからの方が良かったのではないか、スネークはそう思ってきた。だから、この島でのジャックの生活を支え、自分はジャックに危害を加える相手では無い事を知らせたかった。体の傷が癒えたら、専門医を探してジャックの心も癒す事が出来る、そう思っていたスネークは決してここではジャックを抱かないと決めていた。十分な信頼関係を築いてからならば、自分がジャックを愛しているのだと知ってもらえると思っていた。
 ジャックの心に残る傷が癒えた時に、彼はスネークを拒絶するかもしれないと言う思いもあったが、スネークはそれでも仕方が無いと思っていた。その時には年長の友人として、ジャックを支えてやろう……、そう思って今まで接してきたスネークだったが、ジャックのこの涙を放っておく事は出来なかった。
 体の関係が彼を癒すとは思えなかったが……、スネークも恋しい相手のこんな様子を目の当たりにして、冷静でいる事は出来なかった。
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