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拍手下さった方、ありがとうございますv




↓スネ雷のパラレルです。
 MGSは2で終わり、外骨格雷電も、老けスネークも、ローズもいない世界です。傷ついたジャックを癒すスネークのお話です

 からりと晴れた空に、真っ白い雲がのんびりと浮かんでいた。
 ジャックはベッドの上に起き上がると、ベッドに立てかけてあった松葉杖を手にした。
 ビッグシェル事件から1カ月、雷電としてテロリストの首謀者と死闘を繰り広げたジャックは戦闘中の骨折の処置が済むと、この島に移り住んだ。
 ここは、合衆国から手切れ金代わりにせしめたプライベートアイランドだった。
 無人島としてしか地図にも載っておらず、近くを通る船舶からも鬱蒼とした森があるだけのように見える島だった。表向きにはこの島はまだ合衆国の持ち物で、核廃棄物の保管庫と言う名目を与えられている。その名目のおかげで、観光客も無い島だったが、ジャックは島の管理者としてここに配属された。『危険物』を管理する者が、実際には愛国者たちにとっての危険物だと言う事は、ジャックの他には一握りの人物しか知らない事だった。

 コテージの自分の部屋から、松葉杖を使って外に出たジャックの目に、段ボールを積んだカートを運転してきた男が手を上げた。
「おい、一人で出てくるな。転んだらどうするんだ」
 カートから飛び降りた男は、ジャックに駆け寄ると松葉杖を取り上げて抱きあげた。
「スネーク…こんな過保護じゃ、リハビリにならない」
「リハビリは一人で無茶をする事じゃない。何のためにトレーナーが付いていると思ってるんだ?」
 …スネークも、『あの場所』にいた一人だった。
「それに過保護じゃないぞ。お前さんの足は、今頃胴体から離されてたって不思議じゃなかったんだ」
 ソリダスとの戦闘で、ジャックは右足にひどい骨折を負った。ジャックにとどめを差されたソリダスの最後のあがき、マニュピレーターがジャックの足に絡みついて、彼はフェデラルホールの幻影に押しつぶされそうになったのだ。
 あの時、アーセナルギアにいた者たちは、皆フェデラルホールに激突した思っていたが、……それは巨大なセットでありスクリーンだった。瓦礫のようになったフェデラルホールの上で死闘を繰り広げた思っていたジャックだったが、ソリダスのマニュピレーターに掴まれたまま落下する時に、あり得ない光景を見てしまったのだ。
 …フェデラルホールの下には、…海があった。
 彼らは、結局のところ海洋上に浮かぶプラントから、一歩も出なかったのだ。
 ジャックはシェル1とシェル2を繋ぐ連絡橋に引っかかっているところを救助されたが、右足には…ソリダスの残骸がしがみ付いたままでその重さで振り子のように振り回された足は何か所も複雑骨折していた。大腿骨で2か所、脛骨で1か所、腓骨も何か所も折れていた。それをすべて繋ぎ合わせ、血管も神経も繋ぐと言う大手術から、まだ1カ月しか経っていないのだ。スネークが心配をするのも無理は無かった。
「まだ外は駄目だ。こんな石だらけの所を歩くのは、もう少し筋力が戻ってからだ」
 スネークはジャックを抱き上げ、ウッドデッキのロッキングチェアに座らせた。
「待ってろ、荷物を片付けたらリハビリを始める」
 ジャックの髪をくしゃくしゃと撫で、スネークが額にキスをした。
 毎週定期的に通ってくる船で、食料や日用品が届けられる。スネークはカートに戻ってそれらの荷物をコテージの中に運び込んだ。幸いにもこの島は地下水に恵まれていた為に、シャワーやトイレの水には困らなかったが、一週間分の食料とリハビリに必要な物を詰め込んだ段ボールは10数個になっていた。それらの荷物を運んでいるスネークを、ジャックはロッキングチェアから眺めていた。
 ジャックには、未だにこれが現実とは思えない……。
 …ビッグシェル事件自体が、大がかりな演習であった事を思えば、今が何かの実験では無いとは言い切れないのだが……。
「そんなに見惚れるほどいい男か?」
 荷物を運び終えたスネークが、いつの間にかジャックの前に立っていた。
「スネーク…」
 目を細めてジャックを見つめるスネーク、……彼までが実験者だと言う事だ。
 アーセナルギア上行結腸でスネークに渡された武器の中に、一枚のメモがあった。
 そのメモにはスネークのアドレスが書かれていた。必ず連絡の取れるところだと書かれていた……。ジャックはそのアドレスを覚えると、メモを廃棄した。その後愛国者たちによって救助された事を考えれば、その時のジャックの行動は懸命だった。
 この島を得たジャックは、すぐにスネークに連絡を取った。この島がどの程度安全な場所なのか、愛国者たちの監視は自分に及んでいるのか、それらを調べようにもジャックはまだ歩く事も出来なかったのだ。スネークからの返事は意外にも速かった。彼は今回の事件で幽霊ではいられなくなってしまっていたから、地下に潜伏して連絡も取れるかどうか期待は薄かったのだ。
 ジャックからメールをもらったスネークの行動は迅速だった。合衆国海軍に影響力のある辺りを動かして、この島を調べ、愛国者たちの動向についても出来る限りの事を調べた。
 そして、彼はこの島に来たのだ。
 リゾート地のような場所で、ベッドの周りにレーションを堆く積んだジャックの元に、スネークは現れた。何故来たのか尋ねたジャックに、スネークはリハビリにはトレーナーが必要だろうと言っただけだった……。
「取りあえず朝飯だな」
 スネークはそう言うと、ジャックの背に腕をまわして抱きあげた。療養中に少し筋肉が落ちたとはいえ、自分を軽々と抱きあげるスネークに、ジャックは驚かされる。……プラントにいた時から、スネークには驚かされる事ばかりだったが………、彼の腕に抱かれると、くすぐったいような安心感も感じていた。
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