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拍手下さった方、ありがとうございますv




↓壊れてるジャックと、辛抱強いスネーク……。



某様のおっしゃった、何気なくキスをしたりするスネークとジャックを書きたい……今のペースで書いていくと結構長い道のりかも……

 島での生活は、2か月を過ぎていた。
 移り住んですぐにジャックが心配したような出来事は一度も無く、毎日はリハビリに費やされた。
「ジャック、海に行ってみないか?」
 午前のリハビリを済ませ、ジャックの足を解していたスネークが言った。
「海?」
 確かにジャックは松葉杖が無くても少しは歩けるようになっていたが、海で泳げるほどの回復はしていなかった。
「泳ぐわけじゃない。少し散歩だ」
「……」
 ジャックは手術の痕の残る自分の足を見た……。スネークの手が淀みなく動いてマッサージをしている足は…、以前は傷一つ無いものだった…。スネークは傷の痕には触れないようにしながら、ジャックの足を揉みほぐす。傷跡に痛みは無くなっていたが、傷に触れるとジャックの眉が寄せられるのに気付いているようだった。
「…気味が悪いな……」
「ん?」
「…足の傷だ。引き攣れたみたいで気持ちが悪い……」
 ジャックの言葉に、スネークの手が一瞬止まったが、その手はまた柔らかくジャックの足を揉んだ。
「何年か経てば薄くもなる。…それに、運動の後は赤くなって色っぽいぞ」
 スネークはそう言って、ジャックの脹脛の傷に口づけた。
「…そう言う同情は質が悪いんだ」
 ジャックはスネークから目を背けたまま言った。
「同情じゃない」
 この会話も何度も繰り返された……。ジャックはどれほどスネークが言おうと、その感情は同情なのだとしか思えなかった。
 ……愛された記憶が無い……。
 彼の過去の中に、愛情は一欠けらも見当たらなかった。スネークに関しても、ビッグシェルで囮に使われた経緯を思い出せば、今更愛などと言われても信じられるわけが無かった。
 スネークはジャックを囮に使ったのだ……。オルガに捕えられたジャックは、ソリダスに再会した……。そして、不幸な過去は蘇ってしまったのだ。
 ジャックは合衆国に保護された時にC-PTSDと診断を受けた。戦争体験から来る単純PTSDではなく、ジャックの場合は長期に渡る暴力を伴った性的虐待を受けていた為に、症状は広範に渡っていた…。
 解離性障害を複合的に発症し、治療の名目で保護をされたのだが、愛国者たちは彼の生い立ち、『特殊な能力』に目を付けた。
 白い悪魔……、彼のその名に興味を持ったのだ。解離性健忘の為に、その当時のジャックには自分が戦場で犯した殺人の記憶は無かったが、解離性知覚麻痺を起しても運動能力に支障をきたさなかった事などが災いし、彼は偽の記憶と共にビッグシェルに送り込まれた。VR訓練を受けた合衆国兵士、スネ―クと言うコードネームで潜入任務をこなし、…ローズと言う恋人を持つ…、それらはすべてナノマシンの作り出した幻影だった……。中途半端に打ち切られた治療もジャックに混乱だけを残し、ソリダスとの邂逅で蘇った記憶の為に、ジャックは一層ひどい状況になっていた。
 …彼は自分自身に、何の愛着も湧かなくなっていたのだ……。死なないから生きているだけ、それだけだった……。未来への希望も、目的も、彼には無いのだ。
 唯一、彼の琴線に触れたのは、スネークの存在だけだった。
 ここの安全にも、本当は興味が無かった。スネークが本当に連絡をする手段をくれたのか…試してみたかっただけかも知れない。
「ジャック、いいか?俺はお前みたいに若くて綺麗な子に誘われたのは初めてなんだぜ?一気にのぼせあがってもしょうがないだろ?」
 スネークはジャックの膝にも口づけた。
「それとも、お前は俺を一度限りで捨てる気だったのか?」
 プラント内でスネークと関係を持った事を、ジャックは覚えてはいるのだが……、それを思い出すのは辛かった。慌ただしく体を繋ぐだけの行為でも、スネークは労わりに満ちていて、…ジャックは錯覚してしまいそうになるのが怖かった。
「あんな事は…ただの気晴らしだ……」
 感情の無い、棒読みのような声がジャックから漏れた。
「…記憶障害とナノマシンの変調で、正常な判断が出来なかった……」
 言っているジャックの方が、痛みを感じたような顔をしていた……。
 …本当は、スネークに救って欲しかった………。ビッグシェルで出会った時、ジャックはC-PTSDの影響もあり、離人症性障害と妄想性人格障害をきたしていた。スネークにソリダスを重ね合わせ、得られなかった愛情を得ようとしていたのだ。
 ジャックにも自分の気持ちは判っていたが、…それを認めてしまうのは怖かった。
 冷たくなったジャックの足を、スネークはそっと撫でて口づけを繰り返した。
「…スネーク…」
 ここに来て、初めての事だった。
 スネークはジャックのリハビリのサポートをしたり、マッサージはしていたが、こんな風に触れるのは初めてだった。
「……!…」
 ジャックが息を飲んだ。スネークはジャックの腿まで口づけて、ショートパンツの上からそこにもキスしたのだ。
 下着の中で柔らかいだけの物を、スネークは布越しに軽く噛んだ。
「…んっ」
 スネークの頭をどかそうと、ジャックが髪の毛を掴んだが、スネークはやめなかった。
「……嫌だっ」
 ジャックの左足が、スネークの肩を蹴った。流石にこれにはスネークも尻もちを突いたが、ジャックを見上げた目は笑っていた。
「左は随分と良くなったようだな」
 右足の筋力の衰えほどでは無かったが、病院で寝ていた間にジャックの左足も随分と細くなっていたのだ。スネークは立ち上がると、ジャックの膝をぽんと叩いた。
「このくらいじゃなくちゃな」
 俺はじゃじゃ馬が好きなんだ、そう言ったスネークは海辺で食べるランチの用意をすると言ってキッチンに行ってしまった。
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