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↓ヴァンプ……
少し流血表現があります。大丈夫なお姉さまだけお付き合いくださいませv
↓ヴァンプ……
少し流血表現があります。大丈夫なお姉さまだけお付き合いくださいませv
朝が来ていた。
鬱蒼とした森の中にも、朝日が差し込んでいたが、ジャックもヴァンプも一睡もせずに息を詰めたままその朝を迎えた。
ジャックのライダースーツは所々が切り裂かれ、薄く皮膚の切れた所から流れた血が黒く固まっていた。
ヴァンプも無傷では無かった。いたぶるようにつけられたジャックの傷と違い、ヴァンプは腕に大きな傷を負っていた。ナイフを投げた瞬間に出来る僅かな隙に、懐に飛び込んできたジャックに切りつけられた為だった。だが、その傷も、血が乾き肉が盛り上がり始めている。…噂の域を出ない事ではあったが、この男は本当に不死身の吸血鬼なのかもしれない。
毎朝のように森を飛び立つ小鳥たちの姿も、今は無い。
二人の獣の息遣いだけが、この森の中にあった。
ジャックは朝日の差し込むところを避けながら、ヴァンプの足取りを追った。木の枝に残る血痕が、ヴァンプの向かった方向を示している。
ビッグシェルでの時も、ヴァンプが驚異的な回復力を持っている事は目の当たりにしている。ジャックはヴァンプの傷が癒えてしまう前に、次の傷を負わせなければならないと思っていた。ヴァンプと戦う事は、ジャックを酷く高揚させたが、幾つもの傷を受けている間に、ジャックはこれは自傷行為なのだと思え、高揚していた気持ちが少し冷め始めていた。
ヴァンプを切りつける事は、自分に向かってナイフを向けているように思えた。ヴァンプもたぶん、同じ考えでいるのだろう。そして、ジャックはそれに気付いた時点で醒めてしまい、ヴァンプはより一層に興奮しているようだった。
慎重に踏み出したジャックの足元に、ナイフが突き立った。ジャックは反射的に背後の木に身を隠したが、ナイフは追いかけるように木の幹にも突き立てられた。
……これは判る……。ジャックは木の陰に隠れながら間合いを計った。牽制するように投げられたナイフの後に、ヴァンプは必ず姿を現す。ナイフが途切れた所から、30秒、ジャックが数えた通りの間で蝙蝠のように黒い影は、そこに降り立った。
ジャックは背後に引いていた右手を繰り出して、ヴァンプの頸動脈と思われる辺りを掻き切った。流石に、不死身と言われる男でも、それだけ大きな動脈を切られては、無事ではいない筈だった。
だが、ジャックのナイフは空を切った。
そこにはヴァンプのコートだけがあった。
すぐに体勢を立て直し、ジャックが後ろに大きく跳ぶと、ひらりと地面に落ちたコートの陰から、ヴァンプが飛び込んできた。
蹴り上げたヴァンプのブーツの爪先が、ジャックの顎にまともに入った。
一瞬、目の前が真っ白になったジャックだったが、体は勝手にその足を避ける為にローリングで背後に飛んでいた。
バレエか何かのように、ヴァンプが回転しながら蹴りだす足を、ジャックも回転しながら避けて行った。
事情を知らない人間が見たら、やはり二人は長く練習を積んだダンサーのように見えたかもしれない……。攻撃をかわす事も、次の攻撃に繋がるように動く事も、それを昇華させて出来た舞踊もあるのだ。彼らは、ただ、本能によって突き動かされているだけなのかもしれなかったが、体の中に染着くまで繰り返されたであろう動きは、熟練した踊りのように美しかった。
自分に負う傷を最小限に、相手へのダメージを最大限に、……その中でも、ヴァンプは確実に楽しんでいた。
口許に浮かんでいる微笑は、けして虚仮脅しではないのだ。
ヴァンプが振り上げたナイフを、ジャックのナイフが受け止めた。
刃の当たった所に、火花が散った。
「…同じ目だ……」
空っぽのようなヴァンプの瞳が、ジャックの眼を覗き込んでにやりと笑った。
「同じだ……俺と、お前は…一枚のカードの表と裏だ」
……他者の命の上に、自分の生を全うする……。そうした意味でならば、ジャックとヴァンプは同じだったかもしれない。
口づけるように近づいたヴァンプの顔に、ジャックは躊躇うことなく頭突きを放った。
眉間に頭突きを受けたヴァンプは、僅かによろけた。ジャックはその隙を逃さずに、ヴァンプの肩にナイフを突き立てた。本当は腿を刺して機動力を削ぎたいところだったが、腿を刺すまでにはヴァンプが体勢を立て直してしまう。
「…ゥアッ!」
仰け反るヴァンプの胸にも、ジャックはナイフで切りつけた。
肩手はしばらく使えない……。ジャックは後方転回でヴァンプから離れる時にも、顎を蹴り上げるのは忘れなかった。
木立の中に消えるジャックの後を目で追って、ヴァンプは自分の肩から流れる血を掌で撫でた。
ぬるりとした感触、…ヴァンプは血液が持つ独特の感触に目を細めた。
赤く染まった指を、口許に運ぶ……。
「甘い……俺の血も甘いぞ」
まるでフェラチオでもするように、自分の指を熱心に舐めながら、ヴァンプはジャックの隠れた茂みの方を見た。
その瞳は、熱心に書き口説くようにジャックを見ていた。
深い木々も、生い茂った草蔓も透かして……、そこにジャックの姿が見えるように……。
ヴァンプは目を細めながら、自分の肩から流れる血をまた口に運んだ。
鬱蒼とした森の中にも、朝日が差し込んでいたが、ジャックもヴァンプも一睡もせずに息を詰めたままその朝を迎えた。
ジャックのライダースーツは所々が切り裂かれ、薄く皮膚の切れた所から流れた血が黒く固まっていた。
ヴァンプも無傷では無かった。いたぶるようにつけられたジャックの傷と違い、ヴァンプは腕に大きな傷を負っていた。ナイフを投げた瞬間に出来る僅かな隙に、懐に飛び込んできたジャックに切りつけられた為だった。だが、その傷も、血が乾き肉が盛り上がり始めている。…噂の域を出ない事ではあったが、この男は本当に不死身の吸血鬼なのかもしれない。
毎朝のように森を飛び立つ小鳥たちの姿も、今は無い。
二人の獣の息遣いだけが、この森の中にあった。
ジャックは朝日の差し込むところを避けながら、ヴァンプの足取りを追った。木の枝に残る血痕が、ヴァンプの向かった方向を示している。
ビッグシェルでの時も、ヴァンプが驚異的な回復力を持っている事は目の当たりにしている。ジャックはヴァンプの傷が癒えてしまう前に、次の傷を負わせなければならないと思っていた。ヴァンプと戦う事は、ジャックを酷く高揚させたが、幾つもの傷を受けている間に、ジャックはこれは自傷行為なのだと思え、高揚していた気持ちが少し冷め始めていた。
ヴァンプを切りつける事は、自分に向かってナイフを向けているように思えた。ヴァンプもたぶん、同じ考えでいるのだろう。そして、ジャックはそれに気付いた時点で醒めてしまい、ヴァンプはより一層に興奮しているようだった。
慎重に踏み出したジャックの足元に、ナイフが突き立った。ジャックは反射的に背後の木に身を隠したが、ナイフは追いかけるように木の幹にも突き立てられた。
……これは判る……。ジャックは木の陰に隠れながら間合いを計った。牽制するように投げられたナイフの後に、ヴァンプは必ず姿を現す。ナイフが途切れた所から、30秒、ジャックが数えた通りの間で蝙蝠のように黒い影は、そこに降り立った。
ジャックは背後に引いていた右手を繰り出して、ヴァンプの頸動脈と思われる辺りを掻き切った。流石に、不死身と言われる男でも、それだけ大きな動脈を切られては、無事ではいない筈だった。
だが、ジャックのナイフは空を切った。
そこにはヴァンプのコートだけがあった。
すぐに体勢を立て直し、ジャックが後ろに大きく跳ぶと、ひらりと地面に落ちたコートの陰から、ヴァンプが飛び込んできた。
蹴り上げたヴァンプのブーツの爪先が、ジャックの顎にまともに入った。
一瞬、目の前が真っ白になったジャックだったが、体は勝手にその足を避ける為にローリングで背後に飛んでいた。
バレエか何かのように、ヴァンプが回転しながら蹴りだす足を、ジャックも回転しながら避けて行った。
事情を知らない人間が見たら、やはり二人は長く練習を積んだダンサーのように見えたかもしれない……。攻撃をかわす事も、次の攻撃に繋がるように動く事も、それを昇華させて出来た舞踊もあるのだ。彼らは、ただ、本能によって突き動かされているだけなのかもしれなかったが、体の中に染着くまで繰り返されたであろう動きは、熟練した踊りのように美しかった。
自分に負う傷を最小限に、相手へのダメージを最大限に、……その中でも、ヴァンプは確実に楽しんでいた。
口許に浮かんでいる微笑は、けして虚仮脅しではないのだ。
ヴァンプが振り上げたナイフを、ジャックのナイフが受け止めた。
刃の当たった所に、火花が散った。
「…同じ目だ……」
空っぽのようなヴァンプの瞳が、ジャックの眼を覗き込んでにやりと笑った。
「同じだ……俺と、お前は…一枚のカードの表と裏だ」
……他者の命の上に、自分の生を全うする……。そうした意味でならば、ジャックとヴァンプは同じだったかもしれない。
口づけるように近づいたヴァンプの顔に、ジャックは躊躇うことなく頭突きを放った。
眉間に頭突きを受けたヴァンプは、僅かによろけた。ジャックはその隙を逃さずに、ヴァンプの肩にナイフを突き立てた。本当は腿を刺して機動力を削ぎたいところだったが、腿を刺すまでにはヴァンプが体勢を立て直してしまう。
「…ゥアッ!」
仰け反るヴァンプの胸にも、ジャックはナイフで切りつけた。
肩手はしばらく使えない……。ジャックは後方転回でヴァンプから離れる時にも、顎を蹴り上げるのは忘れなかった。
木立の中に消えるジャックの後を目で追って、ヴァンプは自分の肩から流れる血を掌で撫でた。
ぬるりとした感触、…ヴァンプは血液が持つ独特の感触に目を細めた。
赤く染まった指を、口許に運ぶ……。
「甘い……俺の血も甘いぞ」
まるでフェラチオでもするように、自分の指を熱心に舐めながら、ヴァンプはジャックの隠れた茂みの方を見た。
その瞳は、熱心に書き口説くようにジャックを見ていた。
深い木々も、生い茂った草蔓も透かして……、そこにジャックの姿が見えるように……。
ヴァンプは目を細めながら、自分の肩から流れる血をまた口に運んだ。
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