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拍手下さった方、ありがとうございます!
↓やっと進展した感じです
↓やっと進展した感じです
一瞬呆然としたジャックだったが、縄梯子のスネークをナイフが掠めて行くのを見て正気に返った。
「待ってなどいない!さっさと帰れ!」
一歩踏み出しただけでも、折れた鎖骨はジャックに痛みを与えたが、この場を離れなければならないと思った。自分が囮になって引き付けている間に、スネークに逃げてもらわなければ……、それだけを考えてジャックはヴァンプに向かって駆け出そうとした。
「ジャック!」
ローターの風圧と音にかき消されながら、スネークの声がジャックの足を止めた。
「待っててくれたんだろ?」
自信に溢れたスネークの顔は、ジャックにはこの上なく憎たらしくて……愛おしかった。
ヴァンプの投げるナイフを避けながら、スネークがジャックに手を差し伸べた。
その手はジャックの待っていたものだった。幼い頃から、ずっと求め続けたものだった。ジャックはスネークの顔を見上げた。
スネークの瞳は、真っ直ぐにジャックを見ていた。
真摯な瞳の色は、何の嘘も飾りも無かった。
「…スネーク…」
ジャックがスネークに向かって踏み出そうとした時、林の中から閃光のようにヴァンプが飛び出してきた。
コートを脱ぎ棄てたヴァンプの髪が、ヘリコプターの風圧でメデューサの蛇のように踊っている。
血走ったヴァンプの目が、ジャックの眼前いっぱいに広がった。
「貴様は俺のものだ」
スネークを映していたジャックの目を狙うように、ヴァンプのナイフが繰り出された。
後ろにのけ反ってナイフを避けたジャックだったが、折れた鎖骨に激痛が走った。痛みにバランスを崩したジャックに、ヴァンプは手加減をしなかった。唸りを上げたナイフが襲いかかるのを、ジャックは痛みを堪えてそれを避けた。
「貴様を理解できるのは俺だけだ」
今までの遊びのような気配は全くなかった。ヴァンプのナイフがジャックのライダースーツを切り裂き、ローターの風にあおられる髪を切った。
ヴァンプはスネークなど完全に眼中にないようで、痛みを堪えてナイフを避けるジャックを追い詰めていった。
「オタコン!」
スネークが縄梯子から飛び降りようとした時に、オタコンは高度を上げた。下せと怒鳴るスネークのインカムにオタコンの声が冷静に聞こえた。
『無理だよ。高度を下げたら風圧で蘭電が吹き飛ぶよ』
森の中の小さな隙間にヘリを下しているのだ。勿論、着陸は無理だ。ジャックの姿が見えたから、その場に梯子を下してスネークを下ろさせたが、これ以上近づいては辺りの木さえもなぎ倒しかねない。
『ヘリポートに下りよう、スネーク』
軍事利用を考えての事だろうが、ここには簡易なヘリポートもあった。
「駄目だ、距離があり過ぎる」
森の外はジャックが使っていたコテージがある。その上、周辺の砂浜はヘリコプターの着陸には適していなかった。ヘリポートはコテージ反対側にあたる場所にあるのだ。そこから車でも無ければ10分はかかってしまう。
「…オタコン、機体を安定させられるか?」
『少し高度を上げれば……無茶だよ!スネーク』
スネークの意図を察したオタコンの声が、インカムの外まで漏れた。
「察しのいい相棒で助かるな、出来るだけ安定させてくれ」
スネークはそう言うと、インカムのスイッチを切った。
頭上でオタコンが何か叫ぶ声が聞こえたが、スネークは片手を縄梯子に絡みつけると、ライフルを構えた。
スコープを覗くにも体勢が整わない……、スネークの手が小刻みに震えた。狙撃用のライフルを使う時には、いつもジアゼパムを使用していた……。スネークの熟練度から行けば、距離に応じては安定剤を必要とはしなかったかもしれなかったが、彼は常にジアゼパムを離せなかった。遠方から、自分の身の安全を確保しての攻撃に、スネークの気持ちの方が耐えられなくなってしまうのだ。
……今は、違う。今は手が届くほどの側にいながら、ジャックの側で守る事が出来ないのだ。不自然に体を傾げた様子からジャックが負傷しているのも判る、1分でも1秒でも無駄に出来なかった。
オタコンの罵声が止んで、ヘリの水平が保たれたのを確認すると、スネークは深く息を吐いてスコープを覗いた。
ヴァンプの黒い髪の終わり、背後から心臓を目掛けて、スネークが引き金を引いた。
銃声はヘリコプターの騒音にかき消されたが、ヴァンプの体からは血が噴き出し、ほっそりと見える体がジャックの方に弾かれたように飛んだ。
ジャックは迷いも無しに、自分に向かってきたヴァンプの喉に向かってナイフを振った。
すべてが一瞬のような出来事だった。
「ジャック!」
反動で痺れた腕を、スネークはジャックに向けて差し出した。
「スネーク!」
自分に向かって倒れ込んでくるヴァンプを避け、ジャックは駆け出した。
返り血のはねた顔に、折れた骨の痛みは見えなかった。
「待ってなどいない!さっさと帰れ!」
一歩踏み出しただけでも、折れた鎖骨はジャックに痛みを与えたが、この場を離れなければならないと思った。自分が囮になって引き付けている間に、スネークに逃げてもらわなければ……、それだけを考えてジャックはヴァンプに向かって駆け出そうとした。
「ジャック!」
ローターの風圧と音にかき消されながら、スネークの声がジャックの足を止めた。
「待っててくれたんだろ?」
自信に溢れたスネークの顔は、ジャックにはこの上なく憎たらしくて……愛おしかった。
ヴァンプの投げるナイフを避けながら、スネークがジャックに手を差し伸べた。
その手はジャックの待っていたものだった。幼い頃から、ずっと求め続けたものだった。ジャックはスネークの顔を見上げた。
スネークの瞳は、真っ直ぐにジャックを見ていた。
真摯な瞳の色は、何の嘘も飾りも無かった。
「…スネーク…」
ジャックがスネークに向かって踏み出そうとした時、林の中から閃光のようにヴァンプが飛び出してきた。
コートを脱ぎ棄てたヴァンプの髪が、ヘリコプターの風圧でメデューサの蛇のように踊っている。
血走ったヴァンプの目が、ジャックの眼前いっぱいに広がった。
「貴様は俺のものだ」
スネークを映していたジャックの目を狙うように、ヴァンプのナイフが繰り出された。
後ろにのけ反ってナイフを避けたジャックだったが、折れた鎖骨に激痛が走った。痛みにバランスを崩したジャックに、ヴァンプは手加減をしなかった。唸りを上げたナイフが襲いかかるのを、ジャックは痛みを堪えてそれを避けた。
「貴様を理解できるのは俺だけだ」
今までの遊びのような気配は全くなかった。ヴァンプのナイフがジャックのライダースーツを切り裂き、ローターの風にあおられる髪を切った。
ヴァンプはスネークなど完全に眼中にないようで、痛みを堪えてナイフを避けるジャックを追い詰めていった。
「オタコン!」
スネークが縄梯子から飛び降りようとした時に、オタコンは高度を上げた。下せと怒鳴るスネークのインカムにオタコンの声が冷静に聞こえた。
『無理だよ。高度を下げたら風圧で蘭電が吹き飛ぶよ』
森の中の小さな隙間にヘリを下しているのだ。勿論、着陸は無理だ。ジャックの姿が見えたから、その場に梯子を下してスネークを下ろさせたが、これ以上近づいては辺りの木さえもなぎ倒しかねない。
『ヘリポートに下りよう、スネーク』
軍事利用を考えての事だろうが、ここには簡易なヘリポートもあった。
「駄目だ、距離があり過ぎる」
森の外はジャックが使っていたコテージがある。その上、周辺の砂浜はヘリコプターの着陸には適していなかった。ヘリポートはコテージ反対側にあたる場所にあるのだ。そこから車でも無ければ10分はかかってしまう。
「…オタコン、機体を安定させられるか?」
『少し高度を上げれば……無茶だよ!スネーク』
スネークの意図を察したオタコンの声が、インカムの外まで漏れた。
「察しのいい相棒で助かるな、出来るだけ安定させてくれ」
スネークはそう言うと、インカムのスイッチを切った。
頭上でオタコンが何か叫ぶ声が聞こえたが、スネークは片手を縄梯子に絡みつけると、ライフルを構えた。
スコープを覗くにも体勢が整わない……、スネークの手が小刻みに震えた。狙撃用のライフルを使う時には、いつもジアゼパムを使用していた……。スネークの熟練度から行けば、距離に応じては安定剤を必要とはしなかったかもしれなかったが、彼は常にジアゼパムを離せなかった。遠方から、自分の身の安全を確保しての攻撃に、スネークの気持ちの方が耐えられなくなってしまうのだ。
……今は、違う。今は手が届くほどの側にいながら、ジャックの側で守る事が出来ないのだ。不自然に体を傾げた様子からジャックが負傷しているのも判る、1分でも1秒でも無駄に出来なかった。
オタコンの罵声が止んで、ヘリの水平が保たれたのを確認すると、スネークは深く息を吐いてスコープを覗いた。
ヴァンプの黒い髪の終わり、背後から心臓を目掛けて、スネークが引き金を引いた。
銃声はヘリコプターの騒音にかき消されたが、ヴァンプの体からは血が噴き出し、ほっそりと見える体がジャックの方に弾かれたように飛んだ。
ジャックは迷いも無しに、自分に向かってきたヴァンプの喉に向かってナイフを振った。
すべてが一瞬のような出来事だった。
「ジャック!」
反動で痺れた腕を、スネークはジャックに向けて差し出した。
「スネーク!」
自分に向かって倒れ込んでくるヴァンプを避け、ジャックは駆け出した。
返り血のはねた顔に、折れた骨の痛みは見えなかった。
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