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拍手下さった方、ありがとうございますv
更新が滞っていたのですが、その間も拍手いただけてとても嬉しかったですv
↓ヴァンプ……なんだか悲しい人だと思ってしまう……
更新が滞っていたのですが、その間も拍手いただけてとても嬉しかったですv
↓ヴァンプ……なんだか悲しい人だと思ってしまう……
生温かい風のように、ヴァンプがジャックのすぐ目の前に舞い降りた。その右手が動く前に、ジャックは腰のナイフを引き抜いたが、闇の中に金色の髪が千切れて舞った。
応戦するジャックよりも、一瞬だけ速く動くヴァンプのナイフは、文字通り鼠をいたぶる猫の爪のように白い肌を僅かに切り裂いた。
「…お前の血は……」
ナイフを口許に運んだヴァンプが、刃先に付いたジャックの血を舐め取った。
「甘いな…」
恍惚が浮かぶ口許を目掛け、ジャックが拳を打ちこんだ。拳は数ミリでかわされ、ヴァンプは回転しながら背後の闇の中に消えた。
どちらもが、…まだ相手を殺してしまう事を惜しんでいた……。ヴァンプは何度もジャックの心臓を射抜くナイフを投げる事が出来たが、レザーのライダースーツを切り裂くだけに留めている。ジャックもそのナイフを打ち返して、ヴァンプに手傷を負わせる事は出来たが、ただナイフを回収するだけだった。
命のやりとりと言うよりは、それは一種のダンスのようだった。
ヴァンプが闇の中に紛れると、ジャックがローリングを交えながら草の中を移動し、ジャックが木の陰に身を隠すと、ヴァンプが舞うように木々の間を駆けた。
求愛中の鳥のように、目まぐるしく入れ替わりながら、ジャックとヴァンプの間を銀色の冷たい光が交錯した。
死ぬまで踊り続ける靴、脱ぐ事の叶わない靴は、どちらの足にもあるのかもしれなかった……。
夜食を作り終えたスネークは一人で食べるのも味気ないと、オタコンのドアをノックした。
「チョコバーよりバランスのいい物を持って来たぞ」
島にいた時に、あまり食が進まないジャックの為に夜食を作る習慣がついていたのだ。気がつかないうちに2人前以上を作っているのにも、スネークは一人で苦笑を洩らすしかなかった。
「あまり重い物は食べたくないんだけど…」
オタコンは自分のマシンの前から離れずに言った。
「チョコバーに比べたら、お前さんの腹を出っ張らせる心配は無いと思うがな」
嫌味を言いながらブルスケッタとデザートワインを持って入って来たスネークを一瞥しただけで、オタコンは自分の作業に戻った。
「何を調べてるんだ?」
「あの島の所有者が気になって調べてるんだけど……、合衆国の軍事関連であそこを所有してるところは何処にも無いんだ」
ジャックからの説明では、軍の支配下で核廃棄物の処理地になる場所だったと言われたが、ご褒美のように用意された島が、オタコンには少し引っかかっていた。スネークもシャドーモセスの前には、アラスカに隠居所のような所を貰っていたが、結局は彼を手放したくなかった為の措置のように思えた事もあって、オタコンはジャックのいる島を調べてみようと思ったのだ。
……オタコンにとって悲しい結末となってしまったが、ジャックは彼の妹を救おうとしてくれたのだ。今度は自分たちでジャックを助けたいと思っている。
「…個人所有になってる…」
「ジャックの名義なのか?」
オタコンがどこにどうやって入り込んで調べているのか、気になったスネークがモニターを覗き込むと、
「…違うね」
そこにはまるで知らない人物の名前があった。
「島を持ってるなんて、すごい資産家だと思うんだけど……この人物に関しての情報が何もないんだ。納税はされてるみたいだけど……」
納税先から辿ってみると言うオタコンだったが、スネークは嫌な胸騒ぎを感じた。
「愛国者たちって事は無いのか…?」
それは思い付く中でも最悪の状況のように思えた。
「……死亡してる……。納税はされてる。遺産相続の記載は無い……。でも、この人物は死んでるね」
「虫のいい話だとは思ってたが……」
まるで実験動物のように扱われて、大怪我まで負ったジャックに対して、合衆国が僅かでも誠意を示したのであればいいとスネークも思っていた。だが、結局は自分たちの監視の目の届く場所に檻を作っただけだ。
「…連れてくる」
「スネーク?」
「ジャックを連れてくるぞ」
オタコンはスネークを振り返って肩を竦めた。
「君、雷電をフィランソロピーに巻き込むのは反対じゃなかった?南の島で余生を過ごさせてあげるんだって言ってなかった?」
「状況が違うだろう。このままジャックをあんな所に置いておけるか」
「…良かった」
オタコンはスリープさせておいた別のPCを起動させた。
「ちょっと入り込んで、勝手にヘリをチャーターしておいたんだ。君がいかないって言ったら、無駄になるところだったよ」
スネークに向かって掌を差し出したオタコンに、スネークはハイタッチして立ち上がった。本当の所、もしもスネークがソリダスに拘ってジャックの元に行く事を渋るようであれば、自分一人でも説得に行こうとオタコンはヘリの調達をしておいたのだ。
「ステルス迷彩は無理だったけど、スニーキングスーツは用意してあるよ」
その他にも、自動小銃とライフルだけは用意があると言うオタコンの肩を、スネークは無言で叩いた。
……ジャックにも、このオタコンを見せてやりたかった。ジャックの心配をする人間が、少なくともここに二人いる事を、あの孤独な子供に見せてやりたかった。
応戦するジャックよりも、一瞬だけ速く動くヴァンプのナイフは、文字通り鼠をいたぶる猫の爪のように白い肌を僅かに切り裂いた。
「…お前の血は……」
ナイフを口許に運んだヴァンプが、刃先に付いたジャックの血を舐め取った。
「甘いな…」
恍惚が浮かぶ口許を目掛け、ジャックが拳を打ちこんだ。拳は数ミリでかわされ、ヴァンプは回転しながら背後の闇の中に消えた。
どちらもが、…まだ相手を殺してしまう事を惜しんでいた……。ヴァンプは何度もジャックの心臓を射抜くナイフを投げる事が出来たが、レザーのライダースーツを切り裂くだけに留めている。ジャックもそのナイフを打ち返して、ヴァンプに手傷を負わせる事は出来たが、ただナイフを回収するだけだった。
命のやりとりと言うよりは、それは一種のダンスのようだった。
ヴァンプが闇の中に紛れると、ジャックがローリングを交えながら草の中を移動し、ジャックが木の陰に身を隠すと、ヴァンプが舞うように木々の間を駆けた。
求愛中の鳥のように、目まぐるしく入れ替わりながら、ジャックとヴァンプの間を銀色の冷たい光が交錯した。
死ぬまで踊り続ける靴、脱ぐ事の叶わない靴は、どちらの足にもあるのかもしれなかった……。
夜食を作り終えたスネークは一人で食べるのも味気ないと、オタコンのドアをノックした。
「チョコバーよりバランスのいい物を持って来たぞ」
島にいた時に、あまり食が進まないジャックの為に夜食を作る習慣がついていたのだ。気がつかないうちに2人前以上を作っているのにも、スネークは一人で苦笑を洩らすしかなかった。
「あまり重い物は食べたくないんだけど…」
オタコンは自分のマシンの前から離れずに言った。
「チョコバーに比べたら、お前さんの腹を出っ張らせる心配は無いと思うがな」
嫌味を言いながらブルスケッタとデザートワインを持って入って来たスネークを一瞥しただけで、オタコンは自分の作業に戻った。
「何を調べてるんだ?」
「あの島の所有者が気になって調べてるんだけど……、合衆国の軍事関連であそこを所有してるところは何処にも無いんだ」
ジャックからの説明では、軍の支配下で核廃棄物の処理地になる場所だったと言われたが、ご褒美のように用意された島が、オタコンには少し引っかかっていた。スネークもシャドーモセスの前には、アラスカに隠居所のような所を貰っていたが、結局は彼を手放したくなかった為の措置のように思えた事もあって、オタコンはジャックのいる島を調べてみようと思ったのだ。
……オタコンにとって悲しい結末となってしまったが、ジャックは彼の妹を救おうとしてくれたのだ。今度は自分たちでジャックを助けたいと思っている。
「…個人所有になってる…」
「ジャックの名義なのか?」
オタコンがどこにどうやって入り込んで調べているのか、気になったスネークがモニターを覗き込むと、
「…違うね」
そこにはまるで知らない人物の名前があった。
「島を持ってるなんて、すごい資産家だと思うんだけど……この人物に関しての情報が何もないんだ。納税はされてるみたいだけど……」
納税先から辿ってみると言うオタコンだったが、スネークは嫌な胸騒ぎを感じた。
「愛国者たちって事は無いのか…?」
それは思い付く中でも最悪の状況のように思えた。
「……死亡してる……。納税はされてる。遺産相続の記載は無い……。でも、この人物は死んでるね」
「虫のいい話だとは思ってたが……」
まるで実験動物のように扱われて、大怪我まで負ったジャックに対して、合衆国が僅かでも誠意を示したのであればいいとスネークも思っていた。だが、結局は自分たちの監視の目の届く場所に檻を作っただけだ。
「…連れてくる」
「スネーク?」
「ジャックを連れてくるぞ」
オタコンはスネークを振り返って肩を竦めた。
「君、雷電をフィランソロピーに巻き込むのは反対じゃなかった?南の島で余生を過ごさせてあげるんだって言ってなかった?」
「状況が違うだろう。このままジャックをあんな所に置いておけるか」
「…良かった」
オタコンはスリープさせておいた別のPCを起動させた。
「ちょっと入り込んで、勝手にヘリをチャーターしておいたんだ。君がいかないって言ったら、無駄になるところだったよ」
スネークに向かって掌を差し出したオタコンに、スネークはハイタッチして立ち上がった。本当の所、もしもスネークがソリダスに拘ってジャックの元に行く事を渋るようであれば、自分一人でも説得に行こうとオタコンはヘリの調達をしておいたのだ。
「ステルス迷彩は無理だったけど、スニーキングスーツは用意してあるよ」
その他にも、自動小銃とライフルだけは用意があると言うオタコンの肩を、スネークは無言で叩いた。
……ジャックにも、このオタコンを見せてやりたかった。ジャックの心配をする人間が、少なくともここに二人いる事を、あの孤独な子供に見せてやりたかった。
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