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↓少しだけ、ジャックが幸せそうになりました
↓少しだけ、ジャックが幸せそうになりました
ジャックの手を掴んだスネークは、渾身の力でその体を引き寄せた。今離してしまったら、二度と自分の元に戻る事は無いのではないか……、ヴァンプとの戦いを見ていたスネークにはそう思えた。
腕を持って引き上げられるジャックの顔が、苦痛に歪んでいた。折れた鎖骨に酷い負担を掛けている。スネークにもそれは判っていたが、いっその事ジャックが二度と戦場に立てなくなってしまえばいいと思っていた。足を折った時にも、リハビリなどさせずに自分がいなければ生活も儘ならないようにしてしまえば……、だが、スネークにそれは出来なかった。
飛ぶ事を叶わなくすれば、小鳥は手に入れる事が出来るが、その小鳥の心は空に囚われたままでいるのだ。いつでも飛び立つ事の出来る鳥に、ここにいたいと、一緒にいたいと思われたいのだ。
スネークはライフルを投げ捨てると、もう一方の手でジャックのライダースーツのベルトを掴んだ。右肩に触れないようにして、なんとかジャックの体を引き上げる。
「大丈夫か…?」
梯子を挟んで抱きよせたジャックの顔は、紙のように白くなっていた。
「ああ…少し肩が痛い…」
ジャックが右肩を確認すると、ライダースーツの裂け目から見える肌に血が流れていた。ナイフで切りつけられた傷では無かった。折れた鎖骨が皮膚を破っているのが、スネークの目に痛々しく映った。
「…ジャック……」
僅かに眉を寄せ、苦しげな表情で見るスネークに、ジャックは血の気の引いたままの顔で微笑んだ。
「少しだ、スネーク……本当は……もう、痛くない」
ずっと、ジャックの心にあった傷は、消え去っていた。
ジャックの失われた時を補って余りあるほど、スネークの瞳は慈愛に満ちていた。
たとえ、同情でも憐れみでも、それはスネークの愛なのだ。
「痛くない」
常にあった胸の中の痛みは、ジャックの中に残っていなかった。一度は永遠に失うかもしれないと思った恋しい男を、こうして目にする事が出来た今、ジャックに過去の傷は残っていなかった。
ビッグボスの遺伝子から生み出された二人の男、一人は跡形も無いほどジャックを壊し、一人はその欠片を一つずつ拾い集めてくれた。
「畜生、今そんな可愛い顔で俺を見るな。…抱き締めたくて、我慢が出来なくなるだろ」
スネークが鎖骨に響かないように、そっとジャックの腰を引き寄せた。
「俺は、あんたにキスしたい」
ジャックは左手でスネークの顔を引き寄せると、唇を重ねた。
触れ合うだけのキスは暖かく、ジャックは肩の痛みが和らいだ気がした。
「そんなに俺をその気にさせたいか?傷が治ったら、覚悟してろよ」
スネークもジャックの唇に触れた。言葉の勢いとは裏腹に、優しく労わるような口づけだった。
「スネーク…俺はあんたを愛してる」
ここがヘリから吊り下げられた梯子の上で無ければ、スネークはジャックを抱き抱えたままそこら中を走り回ったかも知れない。……小鳥は、翼を奪わなくても、スネークの手の中にいた…。
「ああ…俺も愛してる」
誰にも触れられたくない、誰にも関わりたくない、それはすべて裏返しの心だった。スネークも自分自身の生い立ちを思えば、人を恋する気持ちに正直になれない事も多かった。
ヘリコプターがゆっくりと上昇した。
「オタコン、ヘリポートに一旦下せ」
スネークはジャックの体を支えながら、インカムのスイッチを入れた。
『判った、雷電は大丈夫かい?』
オタコンの気遣わしげな声は、インカムから漏れてジャックの耳にも聞こえた。オタコンは低空を保つヘリの操縦に集中していた為に、ジャックの様子が判らなかったのがもどかしかった。
「鎖骨が折れてる。このまま梯子で長距離は無理だ」
スネークの言葉に、オタコンが小さく息を飲んだ。
『なるべくそっと下ろすよ』
オタコンはそう言うと、高度を上げてヘリポートを目指した。
森の木々を掠めるように揺れる梯子の先で、ジャックはスネークにしっかりとしがみ付いていた。
腕を持って引き上げられるジャックの顔が、苦痛に歪んでいた。折れた鎖骨に酷い負担を掛けている。スネークにもそれは判っていたが、いっその事ジャックが二度と戦場に立てなくなってしまえばいいと思っていた。足を折った時にも、リハビリなどさせずに自分がいなければ生活も儘ならないようにしてしまえば……、だが、スネークにそれは出来なかった。
飛ぶ事を叶わなくすれば、小鳥は手に入れる事が出来るが、その小鳥の心は空に囚われたままでいるのだ。いつでも飛び立つ事の出来る鳥に、ここにいたいと、一緒にいたいと思われたいのだ。
スネークはライフルを投げ捨てると、もう一方の手でジャックのライダースーツのベルトを掴んだ。右肩に触れないようにして、なんとかジャックの体を引き上げる。
「大丈夫か…?」
梯子を挟んで抱きよせたジャックの顔は、紙のように白くなっていた。
「ああ…少し肩が痛い…」
ジャックが右肩を確認すると、ライダースーツの裂け目から見える肌に血が流れていた。ナイフで切りつけられた傷では無かった。折れた鎖骨が皮膚を破っているのが、スネークの目に痛々しく映った。
「…ジャック……」
僅かに眉を寄せ、苦しげな表情で見るスネークに、ジャックは血の気の引いたままの顔で微笑んだ。
「少しだ、スネーク……本当は……もう、痛くない」
ずっと、ジャックの心にあった傷は、消え去っていた。
ジャックの失われた時を補って余りあるほど、スネークの瞳は慈愛に満ちていた。
たとえ、同情でも憐れみでも、それはスネークの愛なのだ。
「痛くない」
常にあった胸の中の痛みは、ジャックの中に残っていなかった。一度は永遠に失うかもしれないと思った恋しい男を、こうして目にする事が出来た今、ジャックに過去の傷は残っていなかった。
ビッグボスの遺伝子から生み出された二人の男、一人は跡形も無いほどジャックを壊し、一人はその欠片を一つずつ拾い集めてくれた。
「畜生、今そんな可愛い顔で俺を見るな。…抱き締めたくて、我慢が出来なくなるだろ」
スネークが鎖骨に響かないように、そっとジャックの腰を引き寄せた。
「俺は、あんたにキスしたい」
ジャックは左手でスネークの顔を引き寄せると、唇を重ねた。
触れ合うだけのキスは暖かく、ジャックは肩の痛みが和らいだ気がした。
「そんなに俺をその気にさせたいか?傷が治ったら、覚悟してろよ」
スネークもジャックの唇に触れた。言葉の勢いとは裏腹に、優しく労わるような口づけだった。
「スネーク…俺はあんたを愛してる」
ここがヘリから吊り下げられた梯子の上で無ければ、スネークはジャックを抱き抱えたままそこら中を走り回ったかも知れない。……小鳥は、翼を奪わなくても、スネークの手の中にいた…。
「ああ…俺も愛してる」
誰にも触れられたくない、誰にも関わりたくない、それはすべて裏返しの心だった。スネークも自分自身の生い立ちを思えば、人を恋する気持ちに正直になれない事も多かった。
ヘリコプターがゆっくりと上昇した。
「オタコン、ヘリポートに一旦下せ」
スネークはジャックの体を支えながら、インカムのスイッチを入れた。
『判った、雷電は大丈夫かい?』
オタコンの気遣わしげな声は、インカムから漏れてジャックの耳にも聞こえた。オタコンは低空を保つヘリの操縦に集中していた為に、ジャックの様子が判らなかったのがもどかしかった。
「鎖骨が折れてる。このまま梯子で長距離は無理だ」
スネークの言葉に、オタコンが小さく息を飲んだ。
『なるべくそっと下ろすよ』
オタコンはそう言うと、高度を上げてヘリポートを目指した。
森の木々を掠めるように揺れる梯子の先で、ジャックはスネークにしっかりとしがみ付いていた。
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