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拍手下さった方、ありがとうございますv



↓オタコン登場。ちょっとお兄さんっぽいです

 オタコンはスネークの溜息に肩を竦めた。今日は朝から何度目になるのか、スネークの吐き出す溜息で部屋が埋め尽くされるのではないかと思えるほどだった。
「スネーク、僕はホームシックのハイイログマと同じ部屋にいるのかな?」
 昨日、急に訪ねて来たスネークは、何も話さずに溜息ばかりを吐いているのだ。オタコンも流石に作業効率が落ちると、文句を言いたくなってきた。
「雷電はどうだったの?傷はもういいのかい?」
 オタコンもスネークがジャックの所に行っていた事は知っていた。フィランソロピーの活動も、ビッグシェル事件以降はこれと言った事も無く、二人は事実上の活動停止状態になっていた。新興国が核兵器の付属品のようにメタルギアを挙って求めるような事も、最近は少なくなっていた事もあるが、スネークの生存が知られてしまった事もあって、二人の活動は地下に潜らざるを得なくなった。以前からも表立っての行動は出来なかったが、現在ではスネークやオタコンの命に関わるような事態に陥る可能性もある。
「もう俺は用済みなようだ…」
「…スネーク?」
 自分のマシンの前に戻ったオタコンの背に、スネークの声は小さかった。
「俺も大概自惚れが強かったみたいだ」
 スネークがモスレムを咥えた。
「あいつが見てたのは、俺の中のソリダスだったらしい。……結局、俺もソリダスと同じビッグボスの亡霊って事だ」
 投げやりな声で言うスネークに、オタコンは座った椅子を立ち上がった。
「彼は被虐待児症候群になってる可能性もあるけど…」
 虐待の続く子供は、その虐待を甘んじて受け入れてしまう事がある。ジャックもそうした環境に長くいた為に、他人の差し出した手に素直に縋れないと言う事は考えられた。
「でも、彼がソリダスを愛するとは思えないな」
 加虐者と共に行動して間ならば、自己を守る方法として加虐者に対して忠誠や愛情を示して見せると言う事はあると思えたが、ジャックがソリダスの元を離れてからは何年も経過している筈だった。ジャック自身がソリダスとの過去に決別する為に、戦おうとしていたのだとオタコンは思っていた。
「僕は最初、君が有能なソルジャーをリクルートしようとしてるんだと思ってたけど……」
 モスレムを咥えて、動物園の白熊のように部屋を歩き回るスネークに、オタコンはくすくすと笑い声を上げた。
「そんなロマンティックな理由だとは思わなかった」
 オタコンに言われて、スネークが振り返った。
「俺はジャックをまた戦場に引き摺りだそうなんて、思った事は無い……」
「そうだよね。…彼は癒されるべきだと思う」
 パソコンデスクを離れたオタコンは、ティーポットから自分のカップに紅茶を注いだ。
「僕も、出来る限りの事を彼にしたいと思ってる」
 オタコンの妹、エマは結果的には不幸な最後を迎えてしまったが、ジャックはオタコンの要請でエマを救出してくれた。死神のような男にエマは殺されてしまったが、最後に言葉を交わす事が出来たのはジャックのおかげだった。
「彼が君を追い出すような理由が、僕には判らないんだけど。初めに、島の安全性を調べて欲しいと言ってきた時の彼は、君の助けを必要としていた筈だよ」
「ああ…俺もそう思ってる。まぁ、リハビリに託けてセクハラしまくるオヤジには、少し警戒はしていたようだが…」
「君、雷電にそんな事をしてたのかい?信じられないよ。彼がどんな目に合って来たか、それは君も知ってるだろう?」
 オタコンがスネークに指を突き付けた。
「判ってる……いや、判ってたつもりだ…」
 ジャックの足が治ったら、スネークはジャックを他の場所に連れ出して、そこで時間をかけて自分の気持ちを伝えようと思っていた。あんな風に自分の気持ちだけを押し付けるような事はしてはいけなかったのだと、判ってはいるが……スネークも堪え切れなくなっていたのだ。ジャックはまるで捨てられた猫のようで、寂しさを覚えながら裏切られる事を恐れて近づく事も出来なかったのではないか…。辛抱強く待てば、ジャックの心を解す事が出来たのではないか……。
 スネークは咥えていた煙草を手の中で握りつぶした。
「…俺だって好きでこの顔に生まれたわけじゃない」
 こればかりはスネークにもどうする事も出来なかった。誰もが、なりたいような自分に生まれてくるわけでは無かったが、スネークは人為的に生み出された……。こうあるべきだと言う形に、スネークは生まれる前から決められていたのだ。
「自分の頭の蠅も追えないようじゃ……、人の事まで手が回らんな」
 自嘲するように言ったスネークの顔を、オタコンはただ黙って見ているよりほかになかった。
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