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拍手下さった方、ありがとうございますv




↓ローズがちょっと嫌な感じです…

『ハル・エメリッヒ博士。シャドーモセス事件での生存者』
 ローズの声は事務的と思えるほど落ち着いていた。
「…ローズ……」
 雷電は頭痛が激しくなるのを感じた。
『あの事件の後、スネークとオタコンはテロリストとして指名手配をされた』
 それは雷電も知っていたが、スネークとテロが結び付かなかった。
「反メタルギア団体……」
 そうした意味では、ある種のテロリズムと言えるのかも知れない……。スネークとオタコンは、反メタルギアのNPOを立ち上げた。メタルギアを所有するのは、何も反政府団体ばかりでも無いのだ。彼らにとっては、メタルギアの所有者は関係ない。メタルギア事態を駆逐しようとしているのだ。
『彼らは世界中のメタルギアを破壊して回った』
 大佐の声が割り込んだ。
『そして、2年前、その「ビッグシェル」が建造される理由を作った』
「スネークたちは…」
 雷電は痛む頭を押さえて、声を絞り出した。喉に絡んだような苦しげな雷電の声を聞いても、大佐もローズも何も言わなかった。
「テロリストでは…無い」
『ジャック…どうして彼らを庇うの…?』
 ローズがそれを尋ねるのならば、何故君は恋人の体調を尋ねないのか……、雷電はそう聞きたかったが、それは飲み込んだ。今までのローズと、この無線でのローズはどこか違っている…。何とはっきり言う事は出来ないのだが、余所余所しさだけでなく違和感を覚える。
 ……違和感…違和感って何だ…?………。雷電は自分自身で自分の感覚が信じられなくなっていた。…自分自身の事さえ判らない者が、他人の何かを知る事など出来ない……。
 雷電の背がぞくりと震えた。
 自分が何者かも判らないと言う事は、…それをそのまま受け入れている上司や恋人も得体の知れない怪物のように思えた。それとも、二人は自分の過去も含めて、すべてを知っているのだろうか……。俯いた雷電の額から、床の鉄板に汗が落ちた。
「…潜入任務をこなして来て……」
 雷電にも判っている事……、それは自分が潜入任務を遂行してきた事だけだった。コードネーム、スネーク……、それは確かにこのプラントに来るまでの自分の名だ。それだけが、現在の雷電の縋れるものだった。
「…これまで、任務を遂行したから感じるんだ…。使命感だけで潜入任務は出来ない…」
 単独潜入……、その孤立無援の戦いは、単に命令を受けて出来る物ではい。雷電は自分も同じ場所に身を置いてみて判った事だ。
『ジャック、大丈夫?』
 ローズの声は雷電の頭痛を察しているわけでは無いようだった。雷電の正気を疑うような聞き方に、雷電は一瞬ムッとしたが、結局はこの場にいない者には判らないのだと思った。
「ただ単にタフなだけでは無い……それ以上に崇高な……、そう、的確な言葉は見当たらないが…勇気や理想に裏打ちされた強い意志が必要だ」
 ローズからも大佐からも返事は無かった。雷電は自分が任務を通じてナルシシズムを満足させているようで、居心地の悪い物を感じたが、自分の考えを曲げようとは思わなかった。二人の冷めたような態度が、余計に雷電を孤立させ、強い信念でも無ければこの場にいる事さえ不可能に思えているのだ。
 ……強い信念……、俺にはどんな信念があるんだ………。
「シャドーモセスを救ったスネークは…テロリストになどならない…」
『…まるで、ソリッド・スネークは救世主かアイドルね』
 ローズの声に含まれる苛立ちは、雷電も苛立たせた。
「スネークがテロリストかどうか、それは定かではないが、彼らは2年前、タンカーと共に沈んだ。そしてスネークの遺体も回収されている』
 冷静な大佐の声に、雷電も僅かに苛立ちが退いた。
「遺体のDNA検査も一致……」
 雷電もそれは知っている事だった。…だが、それが事実だとしたら、彼らは何者なのか…?……。合衆国政府は、極秘の単独潜入を選んだ…、ダミーとしてSEALSを投入したとしても、他の潜入部隊を入れるとは思えない。何より、彼らは雷電に大統領を任せ、自分たちは人質の救出に向かおうとしているのだ。ただの民間人が、人命救助に乗り出したと言う事もあり得ない。

 ……彼は、ソリッド・スネークだ………

 雷電には確信があった。プリスキンの様子には、彼がソリッド・スネークだとすれば納得できる事が多々あるのだ。
『ジャック、あなたの気持ちも判らなくは無いわ。…でも、スネークは死んでいる。だから彼がハル・エメリッヒ博士である筈は無いわ』
 ……今は断定するローズに対抗するだけの、確固たる信念が雷電の中に見つけられなかった……。
 だが、雷電にも一つだけ確定出来る事があった。
「もう一つ確かな事がある。テロリストのリーダーも、スネークでは無いと言う事だ」

 ……俺の信念…、それはどこにあるんだ………。

 ジャックは腰につけたポーチを探って、唯一の支給品では無いタブレットを取り出した。チュアブルタイプのそれを、雷電は初めて飲んだ。部屋の中に溜まって行くだけだった頭痛薬が、初めて役に立った。
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