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↓雷電の為に、久しぶりにフ/ァ/ミ/通買いました。…すごい綺麗ですね~エンジェルちゃんv
橋脚を見回る敵兵に照準を合わせ、雷電はM9の引き金を引いた。
乾いた擦過音がして、麻酔弾が撃ち出された。
橋脚上の敵は、一度ぐらりと傾いて、その場に崩れ落ちた。雷電はその隙を縫って、この橋脚を渡り切らなければならない。途中で麻酔弾をもう一度撃つ機会は無い筈だ。
ここにもガンサイファーが来る可能性はある。雷電は念の為にチャフグレネードを使った。
破壊された橋脚、分断された個所もあるようだった。進めるところまで進んで、身を隠した雷電の目の前に、床板の無くなっている個所が映った。
ローリングならば一息にあちら側に行ける……、雷電は目算で距離を測ってみた。先ほどまでなら、迷いもなく橋脚をローリングで越えたが、止血は済んでいても、脇腹の傷が気になる。無理な体勢で傷口が開いてしまったら、ここでは手当ても出来ない。
後ろを振り返ると、自分の出て来た扉が見える…。そこから急に兵士が現れないとは限らないのだ。
……こんなに……。雷電は自分の掌に汗が滲んでいるのを感じた。こんなに臆病になったのは初めてだった。それを認めるのは、プリスキンにVR訓練を揶揄されたのを肯定するようで気に入らなかった。
匍匐も考えてみたが、それほどの幅も無いようだ。雷電は脇腹に負担がかかる事は同じだが、急激な力が加わらないエルードを選んだ。
床の鉄板の抜けてしまった所からは、黒いほどに青い海が見える…。
雷電は意を決して床板を支えていた枠を掴んだ。
「!…」
枠に捕まってぶら下がった瞬間、雷電の思いも寄らないところに痛みが走った。
「…つ……」
痛みは一瞬で消えたが、…何故そんなところが痛むのか判らなかった。体が伸びた事で、確認できた僅かな痛みだったが、雷電はまた頭痛が来るのではないかと不安になった。
……直腸が痛むとは…何が原因になるんだ………。考えるだけで馬鹿馬鹿しかった。直腸の痛みなど、検査で器具を入れた時にしか感じた覚えがない…。
そろりと横に動いてみた。
脇腹には思ったような痛みは無かった。だが、やはりこれも今まで気付かなかった事だが、腰が異様に重かった。
……まるで射精直後だな……。脊椎が詰まっているようなむず痒さ、怠い痺れを感じる腰……、セックスの直後のような脱力感だった。
雷電の口元に、苦笑が浮かんだ。潜入任務で昂っているのだろうか……?聞く話によると、生命の危機を感じるような極限状態では、生存本能と同時に、自分の種を残したい本能から性欲が高進する事があると言う。雷電は自分はそうしたセクシャルな事に対して、淡白な方だと思っていた。ローズにも、貞操観念が固いと言われたくらいだ。初めてのデートから、ベッドを共にするまでどれくらいの時間がかかったのか、雷電も覚えていない。ナンパをしてきたかと思えば、自分からは食事にも誘わないと怒られた事もある。雷電にしてみれば、ローズをナンパしたわけでは無いのだ。間違えた事を言っているから、訂正してやろうと思っただけで、ローズが美しかったから声をかけるチャンスを狙っていたわけでもない。
雷電には判らないのだ。自分に興味を持って誘ってくる女は、訓練中の同僚であろうと内勤であろうと、来るものを拒んだ事は無かった。だが、進んで自分から関係を持とうと思った記憶が無いのだ。軍に配属されてからは、そんな暇が無かったが、高校生の頃などを思い出そうとしても、雷電の記憶はその辺りがぼやけていて、はっきりとしていないのだ。
初めて参加した軍事演習で、頭を打つ事故にあったから、記憶が曖昧なのだろうと言われた事はあったが……、雷電はそれをそのまま受け入れた……。
……パンドラは箱を開けて災いをまき散らした………。
雷電の頭の中に、誰の声とも知れない声が響いた。抑揚の少ない静かな声だが、反論できない強さがあった。
いつもだった。自分の過去を思い出そうとすると、この声に遮断された。これが誰の声なのか、いつ聞いた言葉なのか、雷電はそれさえも思い出せなかったが、記憶はここで途切れるのだ…。
自分の過去の中に、そんな大それた物があるとは到底思えなかったが、雷電はひどく自分が曖昧な存在なのだと思い知った……。
ジョン・ドウ。
ジャックと言う名も、それほど変わりがないように思えた。
……俺は誰なんだろう………。
黙々と橋脚の残骸を進みながら、雷電は場違いな問いに頭を占められていた。
乾いた擦過音がして、麻酔弾が撃ち出された。
橋脚上の敵は、一度ぐらりと傾いて、その場に崩れ落ちた。雷電はその隙を縫って、この橋脚を渡り切らなければならない。途中で麻酔弾をもう一度撃つ機会は無い筈だ。
ここにもガンサイファーが来る可能性はある。雷電は念の為にチャフグレネードを使った。
破壊された橋脚、分断された個所もあるようだった。進めるところまで進んで、身を隠した雷電の目の前に、床板の無くなっている個所が映った。
ローリングならば一息にあちら側に行ける……、雷電は目算で距離を測ってみた。先ほどまでなら、迷いもなく橋脚をローリングで越えたが、止血は済んでいても、脇腹の傷が気になる。無理な体勢で傷口が開いてしまったら、ここでは手当ても出来ない。
後ろを振り返ると、自分の出て来た扉が見える…。そこから急に兵士が現れないとは限らないのだ。
……こんなに……。雷電は自分の掌に汗が滲んでいるのを感じた。こんなに臆病になったのは初めてだった。それを認めるのは、プリスキンにVR訓練を揶揄されたのを肯定するようで気に入らなかった。
匍匐も考えてみたが、それほどの幅も無いようだ。雷電は脇腹に負担がかかる事は同じだが、急激な力が加わらないエルードを選んだ。
床の鉄板の抜けてしまった所からは、黒いほどに青い海が見える…。
雷電は意を決して床板を支えていた枠を掴んだ。
「!…」
枠に捕まってぶら下がった瞬間、雷電の思いも寄らないところに痛みが走った。
「…つ……」
痛みは一瞬で消えたが、…何故そんなところが痛むのか判らなかった。体が伸びた事で、確認できた僅かな痛みだったが、雷電はまた頭痛が来るのではないかと不安になった。
……直腸が痛むとは…何が原因になるんだ………。考えるだけで馬鹿馬鹿しかった。直腸の痛みなど、検査で器具を入れた時にしか感じた覚えがない…。
そろりと横に動いてみた。
脇腹には思ったような痛みは無かった。だが、やはりこれも今まで気付かなかった事だが、腰が異様に重かった。
……まるで射精直後だな……。脊椎が詰まっているようなむず痒さ、怠い痺れを感じる腰……、セックスの直後のような脱力感だった。
雷電の口元に、苦笑が浮かんだ。潜入任務で昂っているのだろうか……?聞く話によると、生命の危機を感じるような極限状態では、生存本能と同時に、自分の種を残したい本能から性欲が高進する事があると言う。雷電は自分はそうしたセクシャルな事に対して、淡白な方だと思っていた。ローズにも、貞操観念が固いと言われたくらいだ。初めてのデートから、ベッドを共にするまでどれくらいの時間がかかったのか、雷電も覚えていない。ナンパをしてきたかと思えば、自分からは食事にも誘わないと怒られた事もある。雷電にしてみれば、ローズをナンパしたわけでは無いのだ。間違えた事を言っているから、訂正してやろうと思っただけで、ローズが美しかったから声をかけるチャンスを狙っていたわけでもない。
雷電には判らないのだ。自分に興味を持って誘ってくる女は、訓練中の同僚であろうと内勤であろうと、来るものを拒んだ事は無かった。だが、進んで自分から関係を持とうと思った記憶が無いのだ。軍に配属されてからは、そんな暇が無かったが、高校生の頃などを思い出そうとしても、雷電の記憶はその辺りがぼやけていて、はっきりとしていないのだ。
初めて参加した軍事演習で、頭を打つ事故にあったから、記憶が曖昧なのだろうと言われた事はあったが……、雷電はそれをそのまま受け入れた……。
……パンドラは箱を開けて災いをまき散らした………。
雷電の頭の中に、誰の声とも知れない声が響いた。抑揚の少ない静かな声だが、反論できない強さがあった。
いつもだった。自分の過去を思い出そうとすると、この声に遮断された。これが誰の声なのか、いつ聞いた言葉なのか、雷電はそれさえも思い出せなかったが、記憶はここで途切れるのだ…。
自分の過去の中に、そんな大それた物があるとは到底思えなかったが、雷電はひどく自分が曖昧な存在なのだと思い知った……。
ジョン・ドウ。
ジャックと言う名も、それほど変わりがないように思えた。
……俺は誰なんだろう………。
黙々と橋脚の残骸を進みながら、雷電は場違いな問いに頭を占められていた。
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