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拍手下さった方、ありがとうございますv


↓少し進展しました……お初話のはずだったのに……濡れ場にもつれ込むまで長すぎますよね……

 トイレの便座を抱えて、オタコンは胃袋がひっくり返ってしまうかと思うほど嘔吐していた。
「大丈夫か、オタコン」
 背中を擦ってくれているのはスネークのようだったが、何か喋ろうと思っても嘔吐感が込み上げて何も言えなかった。
 汗で冷たくなったオタコンの背を離れて、スネークは水を汲んで来た。
「水飲めるか?」
 何もかも吐き出してしまって、背中を震わせているオタコンに声をかけるが、オタコンは首を振っただけだった。嘔吐くだけで吐き出すものも無いのだが、オタコンは苦しさに声を出す事が出来なかった。
 オタコンはしばらくトイレに座りこんでいたが、這うようにだがベッドまで移動できるまでにはなった。
「…ここ…どこ…?」
 見慣れない部屋に、二つ並んだベッド。その一つに仰向けに転がったオタコンが尋ねた。
「モーテルだ。スノーモービルに括りつけて帰ろうかと思ったんだがな」
 スネークももう一方のベッドに腰を下して、モスレムを銜えた。
 オタコンは自分の状況を思い出そうと、額に手を当てて目を閉じた。…彼女に、マールにスネークに好きな人がいると言われて……、オタコンはひどい絶望感に襲われたのだ。
 その後の事を、オタコンははっきりとは覚えていなかった。勧められて酒を飲んだのは、何となく覚えているが……その後はトイレで便器を抱えるところまで記憶が無かった。
「…パーティは終わったの…?」
「いや、まだ飲んでるようだったが…」
「…そうか……ごめんね…」
 何に対して謝っているのか、オタコンも判らなかった。
「俺もそろそろ切り上げたかったからな」
 スネークも戦時中の話に花を咲かせる老人たちに、少し辟易していたようだった。
「大丈夫か…?顔色が悪いな」
 オタコンの顔を見下ろして、スネークが額に落ちた髪を撫で上げた。スネークの温かく乾いた掌が、オタコンには心地よかった。
「もう大丈夫だよ…、全部吐いちゃったから……顔、洗って来よう…」
 スネークの手は心地よかったが、オタコンはそれ以上の思いをスネークの手から読み取ろうとしてしまう……。まだ酔いは醒めていない…、自分が何か不用意な事を言ってしまいそうで、側にいる事が怖いのだ。
 オタコンはバスルームに入って服を脱いだ。顔だけではなく、体中が汗にまみれているようで気持ちが悪かった。冷えた脂汗を洗い流せば、幾分か気分も良くなりそうだった。

 オタコンがシャワーを浴びて出てくると、部屋の中にスネークの姿は無かった。煙草でも買いに行ったのだろうか……、オタコンはベッドに腰をおろしてタオルで髪を拭いていた。
「おい」
 部屋に続いているデッキへの出入り口が開いて、スネークがオタコンを呼んだ。
「何?」
 雪は降っていなかったが、ドアが開くと冷たい空気が部屋の中に吹き込んできた。
「ちょっと、こっちに来てみろ」
 スネークに手招きされて、オタコンはタオルを被ったままデッキに出て行った。
「あ……うわぁ……」
 髪の毛が凍りつくかと思うような冷気を感じたが、オタコンはそれどころではなかった。
 見上げた空の上には、バラ色のカーテンのようなオーロラが出ていた。春風にたなびくレースのスカートのように…、光のベールがひらひらと空の上を舞っている……。
「…すごいね……こんなの初めて見たよ…」
 オタコンの息は白く凍っていたが、頬は興奮にうっすらと赤くなっていた。
 スネークも並んで空を見上げていたが、コートを来て来なかったオタコンの肩が小さく震えているのを見て、自分のダウンジャケットを脱いだ。
「…スネーク…?」
 肩を包む温かさに、オタコンがスネークを見上げた。
 オーロラのバラ色が映えたように……、オタコンの頬もバラ色に染まっていた。
「…オタコン……」
 ……一瞬、オタコンには何が起きたのか判らなかった。彼の目の前に、オーロラの美しい空ではなく、広く温かい胸があった。
 抱きしめられているのだと判ると、オタコンの鼻の奥が痛くなった。…眼鏡を忘れてしまったせいか…、それとも瞳の中に湧き上がった暖かい泉のせいか……、オタコンには何も見えなかった。
「オタコン……俺は…お前さんの人生を奪うだけかもしれん……」
 苦しそうなスネークの声を励ますように、オタコンはみっしりと筋肉ののった背中を抱きしめた。
「だけどな……ずっと一緒にいたいと思ったのは……始めてなんだ」
 スネークの胸からは、強く速い鼓動が伝わって来た。
 …とくとく、と鳴る胸の鼓動に耳を当てて、オタコンは小さく、それでもしっかりと頷いた。
「僕も……僕も、スネークと一緒にいたい……」
 涙に掠れがちな声が、スネークの胸に響いた。
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