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拍手下さった方、ありがとうございますv
↓ちょっとかわいそうなオタコンです
↓ちょっとかわいそうなオタコンです
いつまでも泣いていても仕方が無いと思った……。
オタコンはのろのろと起き上がると、汚してしまった下着を脱いで、ベッドカバーも外した。着替えを済ませ、汚した物を洗濯機に放り込んで、オタコンはキッチンでお湯を沸かした。
ガラスのテーポットに、紅茶の葉を入れる。先週買い出しに行ったスネークが買って来てくれたアッサムだった。ミルクティを好んで飲んでいるオタコンの為に、カフェのオーナーに取り寄せて置いてもらったのだと言われた……。
暖かい湯気が芳醇な香りを運んだ。
ガラスポットの中で、茶葉がくるくると回りながら上下して、澄んだ美しい紅色が広がって行く。
カフェオレボールを出して、冷たいミルクを注ぎながら、オタコンは紅茶の葉が静かに沈んで行くのを見ていた…。
自分でした事だったが……、ゲイポルノを見ながらの自慰行為は、オタコンには強すぎる刺激だった…。ファイルを閉じる時に、もう一度見てみると……、あの男優は全くスネークには似ていなかった。だが、オタコンは友人として自分を信頼してくれたスネークを穢したように思えて、後悔を覚えていた。
……あんな事まで………。自分のした行為を思い出すと、オタコンの頬が熱くなった。洗濯をしに行った時に、指紋が無くなるかと思うほど自分の手も洗った……。自分自身さえ騙して、あんな事で快楽を貪ったと思うと、どんな顔をしてスネークに会えばいいか判らなかった。
少し濃く出過ぎてしまった紅茶を、オタコンはカフェオレボールの中に注いだ。本当にカフェオレのような色になり、いくらアッサムでも、これほど濃く出てしまったら、少し苦いかもしれない……。だが、今のオタコンは苦い物が欲しかった…。胸に蟠る苦い思いは、暖かく甘いものでは流される気がしなかった。
……スネークが、今日、…もしも僕に何か頼んだら……なんでも言う事を聞こう………。カフェオレカップを両手で抱えて、オタコンはそう思っていた。スネークにはオタコンの謝罪の気持ちは判る事は無いだろうが、オタコンは自分の中でのけじめのようにそう思った。どんな難しい事でも、…どんな簡単な事でも、スネークが最初に頼んだ事はどんな事でも言う事を聞こうと思っていた。
洗濯物を乾燥機に放り込んで、キッチンで冷めたミルクティを飲んでいると、スノーモービルの音が聞こえた。まだ夕食には早かったが、スネークが帰って来たようだった。オタコンは心臓が跳ねあがったような気がした。すぐにも自分の部屋に駆け込んでしまいたかったが、…それは出来なかった。今顔を合わせるのを避けても、明日には会わずにいられない……。オタコンはスネークと離れて暮らす事など考えられなかったのだ。側にいて気持ちを隠している事も辛かったが、離れる事はそれ以上に辛かった。
「ただいま…」
スノーモービルを納屋にしまったスネークが、勝手口から入って来た。
「お帰り、…紅茶だけど、飲む?」
…スネークが紅茶を淹れてくれと言ったら、すごく丁寧に淹れようと思って、オタコンは尋ねた。
「いや…悪いな、今はいい。…ほら、お土産だ」
スネークは紅茶を断って、チョコレートバーの袋をオタコンに渡した。
「あ…ありがとう…」
オタコンはチョコレートバーとヌガーバーの袋を抱えて、固まってしまった。……袋を渡したスネークの腕から、僅かにだが甘い匂いがしたのだ。お菓子などの甘さでは無い…、花のようでいて、どこか人工的なこの香りは、女性用の香水以外には考えられなかった。
……罰があたってるんだ………。スネークは彼女に会ってきた……。ダウンジャケットを脱いだスネークからは、はっきりと香水の香りがした…。
「そうだ…来週一緒に出掛けないか…?」
「え…?」
遠慮がちに言ったスネークの声に、オタコンはどきりとした。スネークがどこかに行こうなどと言ったのは、買い出し以外では初めてだったかもしれない。
「うん……どこへ…?」
自分の声が不自然に浮ついているような気がして、オタコンは小さく咳払いした。
「マールの送別会があるんだ。ああ…マールは覚えて無いかもしれないが、ドラッグストアの隣のカフェで働いてる子だよ」
オタコンの耳はそれ以上スネークの言葉を聞いていられなかった。
……やっぱり…神様は僕の事を嫌いなんだな……。オタコンはぼんやりと思っていた。どうして、スネークが家に帰ってきて一つ目に言った事を、絶対に実行しようなどと思ってしまったのか……。どうして、スネークが彼女の事を一番に言うのか……。
「オタコン?」
ぼんやりとしているオタコンの顔を、スネークが覗き込んだ。モスレムの香りと一緒に、…彼女の香水がオタコンの鼻先に流れた。
「嫌ならいいんだぞ?」
無理に行かなくてもいいと言われても……、オタコンはそれに頷けなかった。
「…ううん…行ってみるよ」
確か、彼女の送別会なのだとスネークは言った……。最後ならば…、スネークが彼女と一緒にいるところを見ても、それほどは辛くないのではないか……。
「そうか、彼女も喜ぶだろう」
…オタコンが喜ばせたいのは、彼女ではなかったが……。
オタコンはカフェオレカップを片づけて、自分の部屋に上がって行った。
キッチンのテーブルに置かれたままのチョコレートバーを見て…、スネークは小さく溜息を吐いた。何が原因なのかは判らなかったが、自分が何かオタコンを傷つけた事は判っていた……。
「………」
買ってきたパンを冷凍庫にしまってから、スネークはモスレムを取り出して銜えた。
……やはり、自分は誰かと一緒に暮らすことには向いていないのだろうか………。吐き出した煙は、スネークにも苦かった。
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オタコンはのろのろと起き上がると、汚してしまった下着を脱いで、ベッドカバーも外した。着替えを済ませ、汚した物を洗濯機に放り込んで、オタコンはキッチンでお湯を沸かした。
ガラスのテーポットに、紅茶の葉を入れる。先週買い出しに行ったスネークが買って来てくれたアッサムだった。ミルクティを好んで飲んでいるオタコンの為に、カフェのオーナーに取り寄せて置いてもらったのだと言われた……。
暖かい湯気が芳醇な香りを運んだ。
ガラスポットの中で、茶葉がくるくると回りながら上下して、澄んだ美しい紅色が広がって行く。
カフェオレボールを出して、冷たいミルクを注ぎながら、オタコンは紅茶の葉が静かに沈んで行くのを見ていた…。
自分でした事だったが……、ゲイポルノを見ながらの自慰行為は、オタコンには強すぎる刺激だった…。ファイルを閉じる時に、もう一度見てみると……、あの男優は全くスネークには似ていなかった。だが、オタコンは友人として自分を信頼してくれたスネークを穢したように思えて、後悔を覚えていた。
……あんな事まで………。自分のした行為を思い出すと、オタコンの頬が熱くなった。洗濯をしに行った時に、指紋が無くなるかと思うほど自分の手も洗った……。自分自身さえ騙して、あんな事で快楽を貪ったと思うと、どんな顔をしてスネークに会えばいいか判らなかった。
少し濃く出過ぎてしまった紅茶を、オタコンはカフェオレボールの中に注いだ。本当にカフェオレのような色になり、いくらアッサムでも、これほど濃く出てしまったら、少し苦いかもしれない……。だが、今のオタコンは苦い物が欲しかった…。胸に蟠る苦い思いは、暖かく甘いものでは流される気がしなかった。
……スネークが、今日、…もしも僕に何か頼んだら……なんでも言う事を聞こう………。カフェオレカップを両手で抱えて、オタコンはそう思っていた。スネークにはオタコンの謝罪の気持ちは判る事は無いだろうが、オタコンは自分の中でのけじめのようにそう思った。どんな難しい事でも、…どんな簡単な事でも、スネークが最初に頼んだ事はどんな事でも言う事を聞こうと思っていた。
洗濯物を乾燥機に放り込んで、キッチンで冷めたミルクティを飲んでいると、スノーモービルの音が聞こえた。まだ夕食には早かったが、スネークが帰って来たようだった。オタコンは心臓が跳ねあがったような気がした。すぐにも自分の部屋に駆け込んでしまいたかったが、…それは出来なかった。今顔を合わせるのを避けても、明日には会わずにいられない……。オタコンはスネークと離れて暮らす事など考えられなかったのだ。側にいて気持ちを隠している事も辛かったが、離れる事はそれ以上に辛かった。
「ただいま…」
スノーモービルを納屋にしまったスネークが、勝手口から入って来た。
「お帰り、…紅茶だけど、飲む?」
…スネークが紅茶を淹れてくれと言ったら、すごく丁寧に淹れようと思って、オタコンは尋ねた。
「いや…悪いな、今はいい。…ほら、お土産だ」
スネークは紅茶を断って、チョコレートバーの袋をオタコンに渡した。
「あ…ありがとう…」
オタコンはチョコレートバーとヌガーバーの袋を抱えて、固まってしまった。……袋を渡したスネークの腕から、僅かにだが甘い匂いがしたのだ。お菓子などの甘さでは無い…、花のようでいて、どこか人工的なこの香りは、女性用の香水以外には考えられなかった。
……罰があたってるんだ………。スネークは彼女に会ってきた……。ダウンジャケットを脱いだスネークからは、はっきりと香水の香りがした…。
「そうだ…来週一緒に出掛けないか…?」
「え…?」
遠慮がちに言ったスネークの声に、オタコンはどきりとした。スネークがどこかに行こうなどと言ったのは、買い出し以外では初めてだったかもしれない。
「うん……どこへ…?」
自分の声が不自然に浮ついているような気がして、オタコンは小さく咳払いした。
「マールの送別会があるんだ。ああ…マールは覚えて無いかもしれないが、ドラッグストアの隣のカフェで働いてる子だよ」
オタコンの耳はそれ以上スネークの言葉を聞いていられなかった。
……やっぱり…神様は僕の事を嫌いなんだな……。オタコンはぼんやりと思っていた。どうして、スネークが家に帰ってきて一つ目に言った事を、絶対に実行しようなどと思ってしまったのか……。どうして、スネークが彼女の事を一番に言うのか……。
「オタコン?」
ぼんやりとしているオタコンの顔を、スネークが覗き込んだ。モスレムの香りと一緒に、…彼女の香水がオタコンの鼻先に流れた。
「嫌ならいいんだぞ?」
無理に行かなくてもいいと言われても……、オタコンはそれに頷けなかった。
「…ううん…行ってみるよ」
確か、彼女の送別会なのだとスネークは言った……。最後ならば…、スネークが彼女と一緒にいるところを見ても、それほどは辛くないのではないか……。
「そうか、彼女も喜ぶだろう」
…オタコンが喜ばせたいのは、彼女ではなかったが……。
オタコンはカフェオレカップを片づけて、自分の部屋に上がって行った。
キッチンのテーブルに置かれたままのチョコレートバーを見て…、スネークは小さく溜息を吐いた。何が原因なのかは判らなかったが、自分が何かオタコンを傷つけた事は判っていた……。
「………」
買ってきたパンを冷凍庫にしまってから、スネークはモスレムを取り出して銜えた。
……やはり、自分は誰かと一緒に暮らすことには向いていないのだろうか………。吐き出した煙は、スネークにも苦かった。
