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拍手下さった方、ありがとうございますv


ブログ開始から一度も拍手のお礼画面を入れ替えてないのですが……、ぱちぱちしてくださる方がいらっしゃって……とても嬉しいですv



↓ねつ造人物が出ています。大丈夫な方だけお付き合いくださいませv

 ベッドにいるスネークに、マールは灰皿とコーヒーを渡した。
「…すまんな、マール…」
「コーヒーなら、ありがとうでしょ?」
 スネークの隣に腰かけたマールが、小さく首を振った。
「…いや…その…」
 結局、スネークは不発に終わっていたのだ。エレベーターを降りて、部屋に入ってお互いの服を脱がせあっても、ベッドに行っても、スネークは臨戦態勢になれなかったのだ。こんな事は初めての事で、スネークはひどく落ち込んでいた。大凡の男性は自分の性的能力に対して、とてもデリケートな感情を持っているものだが、伝説の傭兵であるスネークもご多分に漏れず、その事実にナーバスになっていた。
「いやね。謝る事じゃないわよ」
 マールはスネークのモスレムを1本取ると、ライターで火を点けた。
「たぶんね…デイヴ好きな人が出来たんでしょ?」
「マール…」
 口を開きかけたスネークの唇に、マールは人差し指を当てた。
「別に誰かなんて聞かない」
 マールはスネークの目を覗き込むと、にっこりとほほ笑んだ。
「あたしも潮時だと思ってたし…おあいこね?」
 煙草の煙を吐き出して、マールが立ち上がった。窓辺に飾られた写真立ての中から、クローバーの形の物を取り上げると、彼女はベッドに戻ってスネークに差し出した。
「これがあたしのエンジェル。今年7歳になるの」
 四つ葉のクローバーの形をしたフレームには、4枚の写真が入っていた。マールが指差したのは、ベビードレスの赤ん坊だった。
「この人が、新しいパパ」
 次に指差したのは、地味な色のチェックのシャツを着た男と、青いプラスティックの橇を持った少年の写真だった。
「ふふ…冴えない男でしょ?出戻りでいいから、息子と一緒にお嫁に来て欲しいんですって」
 がっしりとした顎の、実直そうな男だった。
「これが彼の家。あたしのエンジェルは今ここに住んでるの」
 代わりのウェイトレスが入るまでと、オーナーに頼まれたのだが、マールは来週であのカフェをやめるのだと言う。
「…そうか…なんだ…その…おめでとう」
「ありがとう、デイヴ」
 マールは写真立てを抱きしめて、スネークにほほ笑んだ。
「ひどい妻で、ひどいママでしょ?まだ、あなたの事誘うなんて」
「ああ…いや…びっくりしたが…」
 スネークにも何となく判った。彼女が最後に自分を誘った理由…、それは安住への不安だ。可笑しな言い方になるが、一つ所に腰を落ち着けて、地道に暮らす事が怖いのだろう。
「赤毛のマールは今週限りでいなくなるの……。なんだか、寂しくなっちゃったのね、そう思ったら」
 元々の髪の色は黒なのだと言って、マールは笑った。
「マールって名前も、本当の名前じゃないの。でも…デイヴはあたしの本当の名前、知りたいと思わないでしょ?」
「ん…ああ、…そうかもしれない」
 薄情な話かもしれない。シャドーモセス以前から、彼女とスネークは時々ベッドを共にしていた。付き合いの長さで考えたら、スネークの答えは薄情と言わざるを得ないかもしれないのだが……、スネークがそんな男だったからこそ、マールは時々楽しむ相手に選んだのだ。子供に会えない寂しさもあっただろう…、上手くいかない自分の人生への不満もあっただろう、だが、スネークは親切面でそんな話を聞こうとする他の男たちとまるで違っていたのだ。本当の自分を、子供と一緒に故郷に置いてきたマールには、スネークは同じ思いを知っているように思えたのだ。
「週末に常連さんがパーティを開いてくれるの。オーナーが店を使っていいって言ってくれたし…。良かったら、あなたも来て」
「ああ、ぜひそうするよ」
「前に一緒に来た人も連れてくれば…?」
「ん?…ああ…どうかな…来たがらないかも知れないな」
 オタコンは極度の人見知りだ。そんなところも、スネークには可愛らしく思えてしまうのだが……。
「連れてきてよ。常連さんは知っての通りおじいちゃんばっかりなのよ。お別れパーティなんだから、少しは華やかにして欲しいわよ」
「んー…華やかどうかは判らんが…」
「どうして?彼、可愛いわよ。眼鏡をかけてるけど、とってもきれいな目をしてるわ」
 何度も会ったわけでも無いのに、そんな事を言うマールをスネークはまじまじと見つめた。
「ほら、あたしのエンジェルと彼は同じ目の色をしてるの」
 マールが写真立てをスネークの方に向けた。…確かに、白いレースのベビー服を着た赤ん坊は、オタコンと同じ目の色をしていた。
「絶対連れて来てね、約束よ」
「ああ、聞いてはみるが…」
 スネークが渋々と言った様子で頷くと、マールはまた写真立てを抱いてほほ笑んだ。
 
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