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拍手下さった方、ありがとうございますv



↓またもセクハラスネーク

 ごそごそとした物音でスネークは目を覚ました。暗がりにも強いスネークは隣のベッドを見たが、オタコンの姿は無かった。
「オタコン…」
 起き上がって声をかけてみたが、返事は無かった。
 メールのチェックでもしているのかとも思ったが、あの物音はキッチンからのようだ。裸で寝ていたスネークはベッドの足もとにかけてあったジーンズを履くと、寝室を出た。
 リビングも電器は消えていたが、僅かに開いたキッチンから明かりがもれていた。
「おい。夜中の摘み食いは太るぞ」
 テーブルに湯気の立ったカップを置いたオタコンが飛び上がった。
「スネーク…、びっくりさせないでよ。君も起きたの?」
 カップの中身は温めたミルクのようだった。
「何を飲んでるんだ?」
「ホットミルクだよ。…ちょっと目が覚めちゃったから」
「今日は疲れる運動はさせてないからな」
 スネークがボールを一つ取ると、その中に卵を割り入れた。泡だて器で擦り合わせるようにかき混ぜ、その中にグラニュー糖を入れていく。卵が白っぽくなった所で、牛乳とクリームを少しづつボールの中に入れて卵をのばした。
「あのね、スネーク。僕は毎回君に強姦されてるなんて思ってないからね」
 シノワでボールの中の卵液を鍋に濾しているスネークを、オタコンは少し非難するような目で見た。少なからず、セックスをダイエットマシーントレーニングのように言われた事に腹を立てているらしい。しかも、スネークが強制しているような口ぶりも気に入らないらしい。
「僕だって、男だし。性欲だって人並みにはあるんだから」
 オタコンにしては、精一杯スネークの事を気遣っているようなのだが、だんだんと論点はずれていった。
「へぇ、お前さんに性欲なんて物があるとは思ってもみなかったな」
 弱火に鍋を掛けたスネークが煙草に火をつけた。
「あるよ」
「じゃぁ、今まではどうしてたんだ?」
 紫煙の向こうで、スネークがにやにや笑っていた。
「どうって?」
「シャドーモセスでは清らかな生活を送ってたんだろ?有り余る性欲はどうやって処理したんだ?」
「あり…、有り余ってなんかないよ!」
 ローティーンの処女のように言われるのも腹立たしいが、性欲の塊のように言われるのも心外だった。
「有り余らなくても、性欲はあるんだろ?どうしてたんだ?」
 鍋を気にしながら、スネークが片手を輪のようにして、目の前で上下に振って見せた。
「スネーク!…からかわないでよ…、僕は…」
 女性に触れる事が怖いと、オタコンには言えなかった。女性に触れる事は怖かったが、元々同性愛者でもない。言えば誤解を招く事は判っていた。…オタコンは、プールに浮かんだ父の顔を忘れる事が出来なかったのだ。女性の柔らかい肌は、オタコンに青褪めた物言わぬ父の顔を想起させるのだ。
 鍋の中がふつふつと沸き始めたところで、スネークがガスを止めた。戸棚からラムの瓶を出し、暖かい鍋に注いだ。
「いい匂いだね。何ができるの?」
「エッグノッグ。ホットミルクよりはよく眠れるだろう?」
 オタコンが両手で抱えているカップを取り上げると、スネークがそれをシンクに流してエッグノッグを注いだ。
「それでも眠れないなら、疲労困憊する運動に誘うが?」
 スネークもカップを取り出して、自分の分も注いだ。
「いいね。スネークが変な事言い出すから、どうしようかと思ってた」
「俺は別にお前さんが一人でするのを見るのでも構わんがな」
「…スネーク、僕はそう言う事で人を差別するの嫌いだけど、それは変態行為だと思うよ」
 湯気で曇った眼鏡をはずしてスネークを睨みつけるオタコンの肩を、スネークの掌が包み込んだ。
「それじゃ、二人で…」
 オタコンの肩を包み込んだ手が、そっと引き寄せて唇を重ねた。
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