JAI BAISE TA BOVCHE IOKANAAN JAI BAISE TA BOVCHE １

↓プリ雷です。
　プラント編で出会いからラストまで書こうと思ってます。…ミッション中ですが、どこかにエロは入れたいですねぇ←

　紫煙の向こう側に見える顔は、厭味なほどに余裕があった。本人の言うにはSEAL10の生き残りだと言う事だが…、雷電にはその男が嘘を吐いているように思えた。
「…プリスキン…中尉？」
　血塗れの床に平然と座った男。その足元を一匹のフナ虫が走った。ヘリからの高速ロープ降下と言った男は、フナ虫を連れて来た。脚部を水面から来ない限り、フナ虫はついては来ない。
「…以前に会った事が…？」
　どこでなのかわからない。だが、どこかで……、警告のように雷電の中の何かが、この男を見過ごしにしてはいけないと言っていた。
「その装備…FOXHOUNDか？」
　プリスキンは雷電のスニーキングスーツに気付いたようだった。どこか揶揄するようで、品定めのように見る瞳に、雷電は後退りそうになった。……こんな瞳にも覚えがある気がした。
「そうだ…」
「…FOXHOUNDは解体したはずだが……」
　ひとりごちた男の伏せた睫毛の影の瞳は、深い緑色だった。雷電はその瞳の色が気になった。深い緑色の瞳は、雷電の何もかもを知っているような……、雷電自身ですら知らないジャックを知っているように見えた。
「陸軍でフォース２１の実験に参加していた」
　用心深く答えながら、ジャックはそっとその男の横顔を盗み見た。
「フォース２１？戦術インターネットを導入した？」
　僅かに男の瞳が見開かれた。深い緑色の瞳の中で、黒々とした光彩が大きくなった。
「…実戦経験は？」
「……いや…無い」
「今回が初めてか？」
　失望したように男の瞳から力が失せた。
「訓練はしている。実践とは区別のつかない訓練を…」
「実践と変わらない訓練なんてあるか？」
　もう、男は雷電に興味も無いようだった。
「スニーキングミッション６０、ウェポンミッション８０、アドバンスド…」
「VRミッションか？」
　明らかにプリスキンの声に落胆が見られた。
「あれは実践と変わらない」
　思わず憤慨した声を出してしまって、雷電が顔を伏せた。…今は冷静にこの男を観察するところだ…、だが、観察どころか挑発に乗ってしまった。
「デジタル世代の陸軍兵士って訳か…」
「仮想訓練は実践を超えることだって…」
　自分のアイデンティティを根幹から崩されたような気がしていた。…初めての実戦でも、ここまで自分はミスも無く来たはずだ。VRで嫌と言うほど鍛えられた成果は、雷電の自信の全てでもあった。
「VR訓練で人は負傷しまい？実際の訓練では毎年数人が死亡する」
「VRにも痛みはある。現実感もある」
　雷電は「VR訓練」での恐怖や痛みを覚えている。あそこで体験した事は「本当の死の恐怖」だった。
「…感覚は同じだ…。現実には起こっていないと言うだけだ…」
「それが奴等の手だ。実践時の恐怖を抑制する為のな」
　濃い色の金髪を振って、男は溜息を吐いた。
「ゲーム感覚で人を殺す……最強の兵士を作り上げる為の養成プログラムだな…」
　プリスキンの瞳からは揶揄するような色が消えた。雷電の瞳の底を見透かすようなその目は、…やはり雷電の知らない何かを知っているようだった。
　彼の緑色の瞳から逃れるように顔を逸らして、雷電はプリスキンにM4を渡した。黙って受け取ったプリスキンはM4に新しい弾倉を差し込んだ。
「……VR訓練が…マインドコントロールだと…？」
　M4の点検をしているプリスキンに、雷電が詰め寄った時、…見計らったかの様に無線のコール音がした。