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拍手下さった方、ありがとうございますv


↓セクハラスネークです。

 プリスキンがデッドセルの概略を説明する間、雷電は俯いたままだった。
「惨劇…?」
 雷電がプリスキンの言った半年前の惨劇を聞き返したが、プリスキンは答えなかった。
「……部隊は壊滅させられた…」
 何事があったのかは、プリスキンに答えるつもりは無いらしい。結局のところ、デッドセルのリーダーであったジャクソン大佐の汚職は獄死と言う事で有耶無耶になり、その後のデッドセルの反発は私怨で片付けられた…。
「残ったのは、3人だけだ。奴はその生き残りだ」
 デッドセルはシアーズ大統領時代に作られた特殊部隊だ。一癖も二癖もある者で構成されたその部隊を壊滅させる力…、その中で生き残った吸血鬼……。雷電の背筋を冷たい物が走った。
「……どうして奴等はビッグ・シェルを…?」
「知らんね。言っただろう?凶人の集まりだ」
「首謀者はソリッド・スネークと名乗っているが…」
 雷電の呼んだスネークと言う名前に、プリスキンが僅かに顔を背けた。
「スネークなら、2年前に死んだ」
 小さな咳払いをして、プリスキンが言った。
「ビッグシェルが建造される発端になったあの事件か?」
「そうだ。奴がタンカーを沈めた」
 スネークを非難するようなプリスキンの言葉に、雷電の眉が寄せられた。
「伝説の傭兵が?」
「…伝説なんて、大抵ろくなもんじゃない。英雄と凶人は紙一重だ」
「……スネークが生きていてテロを起こした…?」
 独り言のような雷電の声に、プリスキンが顔を上げた。
「いや、彼では無い。彼の死亡は2年前に確認されている」
「スネークは死んだ……」
「そうだ」
 独り言のように言った雷電に、プリスキンは断定した。…だが、誰がどう言おうと、雷電は信じる事が出来なかった。スネークに会ってみたかった。伝説の英雄に対して、雷電は憧れに近い感情を持っていた。
 感傷に似た感情に支配されるのを恐れて、雷電は先ほどヴァンプと共にいた兵士の事をプリスキンに尋ねてみた。
「あれは一種のシークレットサービスだ。シアーズ大統領の私兵と言っていいだろう」
「ならば、彼らも米軍の支配下には無いんだな…?」
「ああ、現大統領選出時に解体されている」
 どちらもジョージ・シアーズが生み出し、時期を同じく解体されている…。雷電は引っかかる物を感じたが、その形は曖昧で今口に出す事では無いようだった。
「ロシア製の装備も見たが」
「旧ソ連の残党。金で雇われた口だろう。ビッグ・シェルは巨大な施設だ。デッドセルだけでは選挙出来まい?」
 プリスキンは片頬を上げた皮肉な笑みを浮かべて雷電を見た。
「しかし、お前はそんな情報も知らされずに何しに来たんだ?しかも、単独で」
「………」
「…何が目的だ…?」
 答えない雷電から視線を外し、プリスキンは咥えていた煙草をパッケージに戻した。ライターは見つからなかった。
「答えられないか…、まぁ、いい」
 プリスキンが煙草のパックを雷電に差し出した。
「?…煙草は吸わない」
「そう言うな…」
 何かの役に立つと言われ、雷電が煙草を受け取ろうと差し出した腕を、プリスキンが掴んだ。
「え…」
 思いがけない動きに、雷電が前屈みになると、プリスキンに唇を吸われた。
「…!」
 唇が触れあっても、プリスキンの腕を引き寄せる力は抜けず、雷電は抗議の為に開いた口の中に煙草の匂いのする舌を感じた。
 …眩暈のように、激しく発光する何かを瞼の裏に感じた。思わず閉じた眼に、幻の光景が浮かび上がる。……頭を撫でる大きな手…、煙草と硝煙の匂い…、誰だか顔の判らない男が、雷電を見下ろして笑っている。
 ……何だ、これは………。濡れた音がするほど、口中を舐められ雷電の背に悪寒のような震えが走った。
 負傷した男の腕だ、簡単に外す事は出来たはずだった。
 だが、雷電はその腕を振り解く事が出来ずに、ただ口を吸われていた。キスなどと生易しいものでは無い。明らかに欲情を煽るような舌の動きは、雷電にはっきりとした嫌悪感を齎していいものだが、…雷電はフラッシュバックのように瞼に浮かぶ光景に気を取られ、抗う事を忘れていた。
「おい…?こっちもVR訓練で習得済みか?」
 唇を解かれても、腕を放されても、身じろぎ一つしない雷電の尻に、プリスキンは手を回すとぴったりと張り付いて皮膚のようになっているスニーキングスーツの上から尻朶を掴んだ。
「ぅあっ!」
 尻を割るように掴んだ指先に、雷電が正気を取り戻した。
「口寂しい時に、キスする相手がいない時にも、煙草は便利だ」
 明らかにからかう口調で言ったプリスキンが、自分の腰からソーコムを外すと雷電に差し出した。
「ついでにこれも持っていろ」
 …雷電をからかっただけでも無さそうだが、緑色の瞳は思いがけず柔らかい笑みを浮かべていた。
「……」
 ばつの悪い思いはあるが、雷電がプリスキンからソーコムを受け取るのと、無線がけたたましい声を伝えたのは同時だった。
「アルファ・ゼロ!こちらブラボー・ゼロ!」
 緊迫した声が、がらんとした階段に響いた。
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