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拍手下さった方、ありがとうございますv
↓オタコンに甘いスネークです
↓オタコンに甘いスネークです
こんがりとトーストされたバケット、フレッシュトマトをバジルで和えたトマトサラダ、クリームのように滑らかなスクランブルエッグ、香ばしく湯気を立てるコーヒー、どれをとってもケチのつけようは無いはずなのだが、オタコンは眉間に皺を寄せていた。
「悪かったって言ってるだろ?」
「…僕が毎朝チョコスプレットかピーナッツバターを使うのは知ってるよね、スネーク」
昨日、買い出しに出るスネークにチョコスプレットもピーナッツバターも終わってしまったと言ったのに、スネークが買い忘れて来たのだ。
「飯を食ったチョコレートバーを食えばいいだろ?」
「朝は糖分が必要なんだ。僕、卵よりチョコスプレットがいいって言ったよね」
バランスの良さそうな朝食のテーブル、オタコンの皿の脇にはチョコレートバーが置かれていたが……、オタコンはピーナッツバターが無い事より、スネークが忘れて来た事の方に腹を立てているようだ。
「悪かった。謝るよ」
スネークがチョコレートバーの包みを破いて、オタコンの皿の上のバケットに乗せた。
「本当はお菓子は食事の後だがな、今日は特別だ。機嫌を直せよ」
「そういう問題じゃないよ」
オタコンは立ち上がると、キッチンのドアを開けた。
「オタコン」
スネークが呼び止めるが、オタコンは振り返らないで、自分の仕事部屋に入ってしまった。追いかけるのも大人げないと、スネークがそのままキッチンのテーブルにいると、鍵をかける音がした。元々、オタコンが使っているのは納戸のような部屋なので鍵は無かったのだが、いつの間にかオタコンが鍵を買ってきて取りつけたのだ。鍵の存在はスネークも知っていたが、使われたの初めてだった。
小さく溜息を吐いたスネークは、フォークを取り上げた。食べられる時に、食べられる所で、出来るだけ食べておくと言うのは、ある意味野生動物に似ている。スネークの体に染み込んだ戦場の習いだ。
自分の部屋にこもったオタコンは、部屋の隅に置いたカウチベッドに突っ伏していた。
……だから嫌なんだ…人と暮らすのは……。自分が大人げない癇癪を起しているのは判っている。スネークもわざと忘れたわけでは無い。だが、共同で生活すると決めた時、幾つかの決め事を作ったのも確かだ。まずは、仕事以外の事で、お互いの事を干渉しない。命に危険があるような時や、明らかに危険な方向に進んでいる時はその限りでは無い。トラブルの原因になるような他人との接触も控える。…モーテルで一夜を過ごすのは構わないが、この部屋に女性を連れ込まないのは最初からの約束だ。お互いの好みや嗜好を押し付けない。お互いの好みや嗜好に口出しをしない。そんな細々した事を決めたオタコンに、スネークはいちいち頷いて聞いてくれた。そして、出来る限り、お互いは協力して暮らす。これはスネークの言った事だ。
『まるで、結婚の誓いみたいだな』そう言ってスネークが笑った時には、まだ二人とも肉体関係を持つとは思ってもみなかった。
……スネークは僕の事なんて…何も覚えていないんだ………。そう思うと寂しくなった。恋人では無い、気が向けばベッドを共にするが、それは愛情では無く友情だ…、そう言い聞かせるようにしてきたオタコンだったが、……自分の事をスネークは気にもかけていないのかと思うと寂しくなった。
……僕は、誰も愛しちゃいけない…誰にも愛されちゃいけない………。呪文のように繰り返した言葉を、オタコンは口の中で呟いた。
腕で顔を覆うようにして、カウチベッドに突っ伏したオタコンの耳に、微かな金属音がした。
「オタコン」
オタコンが取り付けた鍵は難解な電子ロックなどでは無く、スネークには針金が2本あれば十分な物だった。
「パンケーキを焼いて来た」
カウチの端に腰かけたスネークがパンケーキを置いた。きつね色のパンケーキは甘い香りの湯気を立てて、添えられたバニラアイスクリームの上に金色のメイプルシロップが光っていた。
「機嫌を直せよ、オタコン」
優しい掌がオタコンの髪を撫でた。
「…僕の為に作ったの…?」
「当り前だろ。俺は恋人には優しいんだ…。言っただろ?」
まだ伏せたままでいるオタコンの髪を撫で、スネークが小さく音を立ててキスした。
甘いメープルシロップの香に包まれ、オタコンはもう、呪文を口にする事は出来なかった。
「悪かったって言ってるだろ?」
「…僕が毎朝チョコスプレットかピーナッツバターを使うのは知ってるよね、スネーク」
昨日、買い出しに出るスネークにチョコスプレットもピーナッツバターも終わってしまったと言ったのに、スネークが買い忘れて来たのだ。
「飯を食ったチョコレートバーを食えばいいだろ?」
「朝は糖分が必要なんだ。僕、卵よりチョコスプレットがいいって言ったよね」
バランスの良さそうな朝食のテーブル、オタコンの皿の脇にはチョコレートバーが置かれていたが……、オタコンはピーナッツバターが無い事より、スネークが忘れて来た事の方に腹を立てているようだ。
「悪かった。謝るよ」
スネークがチョコレートバーの包みを破いて、オタコンの皿の上のバケットに乗せた。
「本当はお菓子は食事の後だがな、今日は特別だ。機嫌を直せよ」
「そういう問題じゃないよ」
オタコンは立ち上がると、キッチンのドアを開けた。
「オタコン」
スネークが呼び止めるが、オタコンは振り返らないで、自分の仕事部屋に入ってしまった。追いかけるのも大人げないと、スネークがそのままキッチンのテーブルにいると、鍵をかける音がした。元々、オタコンが使っているのは納戸のような部屋なので鍵は無かったのだが、いつの間にかオタコンが鍵を買ってきて取りつけたのだ。鍵の存在はスネークも知っていたが、使われたの初めてだった。
小さく溜息を吐いたスネークは、フォークを取り上げた。食べられる時に、食べられる所で、出来るだけ食べておくと言うのは、ある意味野生動物に似ている。スネークの体に染み込んだ戦場の習いだ。
自分の部屋にこもったオタコンは、部屋の隅に置いたカウチベッドに突っ伏していた。
……だから嫌なんだ…人と暮らすのは……。自分が大人げない癇癪を起しているのは判っている。スネークもわざと忘れたわけでは無い。だが、共同で生活すると決めた時、幾つかの決め事を作ったのも確かだ。まずは、仕事以外の事で、お互いの事を干渉しない。命に危険があるような時や、明らかに危険な方向に進んでいる時はその限りでは無い。トラブルの原因になるような他人との接触も控える。…モーテルで一夜を過ごすのは構わないが、この部屋に女性を連れ込まないのは最初からの約束だ。お互いの好みや嗜好を押し付けない。お互いの好みや嗜好に口出しをしない。そんな細々した事を決めたオタコンに、スネークはいちいち頷いて聞いてくれた。そして、出来る限り、お互いは協力して暮らす。これはスネークの言った事だ。
『まるで、結婚の誓いみたいだな』そう言ってスネークが笑った時には、まだ二人とも肉体関係を持つとは思ってもみなかった。
……スネークは僕の事なんて…何も覚えていないんだ………。そう思うと寂しくなった。恋人では無い、気が向けばベッドを共にするが、それは愛情では無く友情だ…、そう言い聞かせるようにしてきたオタコンだったが、……自分の事をスネークは気にもかけていないのかと思うと寂しくなった。
……僕は、誰も愛しちゃいけない…誰にも愛されちゃいけない………。呪文のように繰り返した言葉を、オタコンは口の中で呟いた。
腕で顔を覆うようにして、カウチベッドに突っ伏したオタコンの耳に、微かな金属音がした。
「オタコン」
オタコンが取り付けた鍵は難解な電子ロックなどでは無く、スネークには針金が2本あれば十分な物だった。
「パンケーキを焼いて来た」
カウチの端に腰かけたスネークがパンケーキを置いた。きつね色のパンケーキは甘い香りの湯気を立てて、添えられたバニラアイスクリームの上に金色のメイプルシロップが光っていた。
「機嫌を直せよ、オタコン」
優しい掌がオタコンの髪を撫でた。
「…僕の為に作ったの…?」
「当り前だろ。俺は恋人には優しいんだ…。言っただろ?」
まだ伏せたままでいるオタコンの髪を撫で、スネークが小さく音を立ててキスした。
甘いメープルシロップの香に包まれ、オタコンはもう、呪文を口にする事は出来なかった。
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