×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
拍手下さった方、ありがとうございますv
↓オタコンは骨ばっててごつごつするといいと思ってしまう…
↓オタコンは骨ばっててごつごつするといいと思ってしまう…
オタコンがリビングに掃除機をかけていると、キッチンからバターの香ばしい匂いが漏れて来た。
ひどくドメスティックな気持ちになる。だが、自分達にはそう言った物が必要なのだと、オタコンは思うのだ。
レーションまで言わなくても、簡単な食事やサプリメントは幾らでもある。二人きりで反メタルギアのNGOを運営する身としては、そう言った便利な…味気ない代物の世話になってしまった方が効率的には正しいのかも知れない。そうでなくても、オタコンは忙しかった。実戦に入らなければスネークの時間はかなり自由になるが、オタコンは違う。
それでも出来るだけ日常生活は『普通』を目指す事にしていた。手の空いている時のスネークは料理をしたり、オタコンも掃除や洗濯はするようにしていた。初めは経費の節約くらいな気持だったが、それはお互いの良い気分転換になった。職場で生活の場でもある為に、二人は四六時中顔を合わせる事になるが、分担して家事を行う事で互いに小さな感謝の言葉を忘れなかった。
ベッドまでも共にするようになってからも、スネークはオタコンがアイロンをかけたシャツに礼を言い、オタコンはスネークの料理を賛辞した。
小さな事ではあった。だが、ありがとうと言う言葉は、二人の極限状態とも言える生活を支えて来た。
オタコンは掃除機を片付けて、キッチンに向かった。
ドアを開けると、卵のふんわりとした香とバターの温かさに包まれた。
スネークがいつも、いつもオタコンの為に用意してきた居場所だった。
銃火の背後を守るような暮らしをするとは思ってもいなかった男だ。初めてスネークが出会った時には、恐怖に失禁したような男だ。…傷付きやすく、そして他人の疵にさえ引き摺られてしまうような優しい男だ…。
スネークはそんなオタコンを守ってくれていた。
……君も…、僕を愛してくれてるんだよね……。
オーブンで温めたパンを出したスネークに、オタコンが微笑みかけた。
スネークも一度もオタコンに愛と言う言葉を言った事は無かった。
…たぶん、この男は今まで誰にもその言葉を使えなかったのだ。
誰の心の中にも、居場所を求めてはいけないと思っていたのかも知れない…。オタコンとの関係も、スネークはカジュアルな扱いをしたがった。今になれば、それがこの不器用な男の優しさなのだと判るのだが……、他人とこれほど濃密に暮らした事のないオタコンには戸惑いを与えた。現在まで、オタコンは幸せな恋愛と言った物の経験が無い。不幸としか呼べない末路や、未だに追憶と呼ぶには痛みを伴う別れしか知らない…。
恋を持つには…、オタコンは臆病にならざるをえなかった。そして、…強く優しい男は、それを感じていたのだ。
……僕が言わせなかった…そうなんだよね、スネーク………。
湯気の立つ皿を持ったスネークの姿が、オタコンの眼の中でゆらゆらと揺れた。
「…オタコン……」
皿を置いてテーブルを回り込んだスネークが、オタコンの肩を抱き寄せた。
今までの不摂生が作り上げた、男としては貧弱な背中は、スネークの腕の中にすっぽりと収まってしまった。スネークの腕は、シャドーモセス以降、この情けないほどに小さな背中をずっと守っていたのだ。
骨ばったオタコンの肩が、スネークの胸に凭れかかり、涙に濡れた顔は厚い胸に埋められた。
「…スネーク……僕…、君を愛してる……」
涙に掠れた声が、スネークの動きを止めた。
優しく背を撫でていた手が止まり…、鼓動さえ止まってしまったようにスネークが固まった。
「君を愛してる……」
後は嗚咽を抑える事しか出来なくなってしまった。……告白は、勇気のいる行為だ。お互いの気持ちが判ればそれでいいとも思えた……。だが、オタコンはこの小さな告白をしない事は、とても卑怯な事だと思ったのだ。なし崩しのように関係を結んでしまったが、お互いに惹かれる気持ちが無ければ、そうはならなかった筈だった。
「…オタコン……」
スネークが長く息を吐き出して、オタコンを呼んだ。
「俺もだ……。俺もお前を愛している……」
長い寄り道をした告白だった。シャドー・モセスでずっと自分をサポートしてくれたオタコンに対して、擬似的に恋愛感情を持っているのでは無いか…、一緒に危機を乗り越えた事で、連帯感を愛情と勘違いしているのでは無いか……、スネークも迷った時期があった。しかし、怯えるような目をしながら自分に縋ったオタコンを見た時に……、スネークの心には確信があった。愛しいのだと…、だからこそ、生きて一緒に未来を生きたいと思ったのだと……。
ひどくドメスティックな気持ちになる。だが、自分達にはそう言った物が必要なのだと、オタコンは思うのだ。
レーションまで言わなくても、簡単な食事やサプリメントは幾らでもある。二人きりで反メタルギアのNGOを運営する身としては、そう言った便利な…味気ない代物の世話になってしまった方が効率的には正しいのかも知れない。そうでなくても、オタコンは忙しかった。実戦に入らなければスネークの時間はかなり自由になるが、オタコンは違う。
それでも出来るだけ日常生活は『普通』を目指す事にしていた。手の空いている時のスネークは料理をしたり、オタコンも掃除や洗濯はするようにしていた。初めは経費の節約くらいな気持だったが、それはお互いの良い気分転換になった。職場で生活の場でもある為に、二人は四六時中顔を合わせる事になるが、分担して家事を行う事で互いに小さな感謝の言葉を忘れなかった。
ベッドまでも共にするようになってからも、スネークはオタコンがアイロンをかけたシャツに礼を言い、オタコンはスネークの料理を賛辞した。
小さな事ではあった。だが、ありがとうと言う言葉は、二人の極限状態とも言える生活を支えて来た。
オタコンは掃除機を片付けて、キッチンに向かった。
ドアを開けると、卵のふんわりとした香とバターの温かさに包まれた。
スネークがいつも、いつもオタコンの為に用意してきた居場所だった。
銃火の背後を守るような暮らしをするとは思ってもいなかった男だ。初めてスネークが出会った時には、恐怖に失禁したような男だ。…傷付きやすく、そして他人の疵にさえ引き摺られてしまうような優しい男だ…。
スネークはそんなオタコンを守ってくれていた。
……君も…、僕を愛してくれてるんだよね……。
オーブンで温めたパンを出したスネークに、オタコンが微笑みかけた。
スネークも一度もオタコンに愛と言う言葉を言った事は無かった。
…たぶん、この男は今まで誰にもその言葉を使えなかったのだ。
誰の心の中にも、居場所を求めてはいけないと思っていたのかも知れない…。オタコンとの関係も、スネークはカジュアルな扱いをしたがった。今になれば、それがこの不器用な男の優しさなのだと判るのだが……、他人とこれほど濃密に暮らした事のないオタコンには戸惑いを与えた。現在まで、オタコンは幸せな恋愛と言った物の経験が無い。不幸としか呼べない末路や、未だに追憶と呼ぶには痛みを伴う別れしか知らない…。
恋を持つには…、オタコンは臆病にならざるをえなかった。そして、…強く優しい男は、それを感じていたのだ。
……僕が言わせなかった…そうなんだよね、スネーク………。
湯気の立つ皿を持ったスネークの姿が、オタコンの眼の中でゆらゆらと揺れた。
「…オタコン……」
皿を置いてテーブルを回り込んだスネークが、オタコンの肩を抱き寄せた。
今までの不摂生が作り上げた、男としては貧弱な背中は、スネークの腕の中にすっぽりと収まってしまった。スネークの腕は、シャドーモセス以降、この情けないほどに小さな背中をずっと守っていたのだ。
骨ばったオタコンの肩が、スネークの胸に凭れかかり、涙に濡れた顔は厚い胸に埋められた。
「…スネーク……僕…、君を愛してる……」
涙に掠れた声が、スネークの動きを止めた。
優しく背を撫でていた手が止まり…、鼓動さえ止まってしまったようにスネークが固まった。
「君を愛してる……」
後は嗚咽を抑える事しか出来なくなってしまった。……告白は、勇気のいる行為だ。お互いの気持ちが判ればそれでいいとも思えた……。だが、オタコンはこの小さな告白をしない事は、とても卑怯な事だと思ったのだ。なし崩しのように関係を結んでしまったが、お互いに惹かれる気持ちが無ければ、そうはならなかった筈だった。
「…オタコン……」
スネークが長く息を吐き出して、オタコンを呼んだ。
「俺もだ……。俺もお前を愛している……」
長い寄り道をした告白だった。シャドー・モセスでずっと自分をサポートしてくれたオタコンに対して、擬似的に恋愛感情を持っているのでは無いか…、一緒に危機を乗り越えた事で、連帯感を愛情と勘違いしているのでは無いか……、スネークも迷った時期があった。しかし、怯えるような目をしながら自分に縋ったオタコンを見た時に……、スネークの心には確信があった。愛しいのだと…、だからこそ、生きて一緒に未来を生きたいと思ったのだと……。
PR
*
♪
Category
最新トラックバック
ブログ内検索