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↓4ベースのお話です
焦げた目玉焼きとトーストを前に、オタコンはスネークからの連絡を待っていた。
「食べないの…?」
自分の皿を片づけるサニーが声をかけたが、オタコンは上の空らしく返事も無かった。
「ハル兄さん」
肩をちょんと突くと、オタコンはやっと気付いてサニーに目を向けた。
「ああ、ごめん…」
サニーに向けたオタコンの笑みは、眠れないのだろうか窶れたような隈が浮かんでいた。
今度ばかりは、スネークと言えども油断はできない。……現在の彼は、以前の彼では無いのだ……。老化と固化の進んだ体で、スネークは一人戦場にいる。オタコンは、離れた場所で支援するしかない自分がもどかしかった。
「チョコレートバーを食べたの?」
サニーがオタコンの顔を覗き込んで、少し咎めるような調子で言った。いつも食事を取らない時にスネークがオタコンに言うセリフだ。
「食べてないよ。ちょっと考え事をしてたんだ」
冷めて硬くなったサニーサイドアップをフォークで切り分け、オタコンはバサバサの卵を口に運んだ。スネークにゆとりがあったら、……こんな事態が起こらなければ、どこか落ち着いた土地で暮らして、スネークから何か自慢料理の一つでも伝授してもらえたのだろう……。サニーには同じ年頃の友達さえいない……。
「ハル兄さん」
食器を片づけて来たサニーは、オレンジジュースのコップを持ってオタコンの隣に座った。スネークがいる時には、サニーはオタコンの隣に座るのが習慣になっているのだ。
「なにかな?」
オタコンがサニーの方を向くと、小さな指先がパンくずの付いた頬を抓んだ。
「何?痛いよ?」
ぎゅう、とオタコンの両頬を抓ったサニーが、情けない声を聞いてくすくす笑った。
「いい事を考えないと、駄目なのよ」
オタコンの顔を抓って引っ張ったサニーが、眼鏡の奥の瞳を覗き込んだ。
「悪い考えは、悪い事を呼んでくる。…スネークが言ってた」
……こんな小さな子に心配をかけるほど、自分は危なっかしいのだろうか……。オタコンは自分の不甲斐なさに少し落ち込んだ。母親に似た大きな瞳は、オタコンの気持ちの中に入り込んでしまいそうに澄んでいた。
……そうだよね…、スネーク、僕達頑張らなくちゃ……。目の前に未来があった。過去の過ちを正し、彼女のようにこれからの未来を生きる子供達の為にも、成し遂げなければならない事だった…。
「ごめんよ、サニー。…僕は弱虫だね」
折れてしまうわけにはいかなかった。役割はそれぞれに話し合って決めた事でもあった。出来る事を、出来るようにする事を、お互いを補って生きようと決めたのも、二人での事だった。
オタコンはサニーの頭をそっと撫でた。
「いい事をたくさん考えるよ」
「どんな事?」
「そうだね……、サニーとスネークと3人で、小さな家を買うのはどう?」
オタコンが眼鏡の奥で笑うと、サニーの顔にも笑みが広がった。
「庭にたくさん花を植えたり、スネークにパイを焼いてもらったり」
「スネークがパイを?」
「そうだよ。ここではしないけど、彼は料理が上手なんだよ」
サニーが目を輝かせた。
「素敵」
小さな唇が言った言葉に、オタコンは頷いた。
生きている事は、素敵な事ばかりじゃない……、でも、その為の努力を諦めてしまえば、自分で自分を不幸にするだけだ。
幸せになろう……。
誰もが、幸せになれる、そんな都合のいい世界は無い。けれど、それを願う権利は誰にでもある。
……ねぇ、スネーク…僕達も、幸せを願っていいよね………。
まだ、先は何も見えていなかった。苦しい戦いになる事も判っていた。
けれど、オタコンは目の前の小さな少女の為にも……、晴れ渡った空を思う事にした。
「食べないの…?」
自分の皿を片づけるサニーが声をかけたが、オタコンは上の空らしく返事も無かった。
「ハル兄さん」
肩をちょんと突くと、オタコンはやっと気付いてサニーに目を向けた。
「ああ、ごめん…」
サニーに向けたオタコンの笑みは、眠れないのだろうか窶れたような隈が浮かんでいた。
今度ばかりは、スネークと言えども油断はできない。……現在の彼は、以前の彼では無いのだ……。老化と固化の進んだ体で、スネークは一人戦場にいる。オタコンは、離れた場所で支援するしかない自分がもどかしかった。
「チョコレートバーを食べたの?」
サニーがオタコンの顔を覗き込んで、少し咎めるような調子で言った。いつも食事を取らない時にスネークがオタコンに言うセリフだ。
「食べてないよ。ちょっと考え事をしてたんだ」
冷めて硬くなったサニーサイドアップをフォークで切り分け、オタコンはバサバサの卵を口に運んだ。スネークにゆとりがあったら、……こんな事態が起こらなければ、どこか落ち着いた土地で暮らして、スネークから何か自慢料理の一つでも伝授してもらえたのだろう……。サニーには同じ年頃の友達さえいない……。
「ハル兄さん」
食器を片づけて来たサニーは、オレンジジュースのコップを持ってオタコンの隣に座った。スネークがいる時には、サニーはオタコンの隣に座るのが習慣になっているのだ。
「なにかな?」
オタコンがサニーの方を向くと、小さな指先がパンくずの付いた頬を抓んだ。
「何?痛いよ?」
ぎゅう、とオタコンの両頬を抓ったサニーが、情けない声を聞いてくすくす笑った。
「いい事を考えないと、駄目なのよ」
オタコンの顔を抓って引っ張ったサニーが、眼鏡の奥の瞳を覗き込んだ。
「悪い考えは、悪い事を呼んでくる。…スネークが言ってた」
……こんな小さな子に心配をかけるほど、自分は危なっかしいのだろうか……。オタコンは自分の不甲斐なさに少し落ち込んだ。母親に似た大きな瞳は、オタコンの気持ちの中に入り込んでしまいそうに澄んでいた。
……そうだよね…、スネーク、僕達頑張らなくちゃ……。目の前に未来があった。過去の過ちを正し、彼女のようにこれからの未来を生きる子供達の為にも、成し遂げなければならない事だった…。
「ごめんよ、サニー。…僕は弱虫だね」
折れてしまうわけにはいかなかった。役割はそれぞれに話し合って決めた事でもあった。出来る事を、出来るようにする事を、お互いを補って生きようと決めたのも、二人での事だった。
オタコンはサニーの頭をそっと撫でた。
「いい事をたくさん考えるよ」
「どんな事?」
「そうだね……、サニーとスネークと3人で、小さな家を買うのはどう?」
オタコンが眼鏡の奥で笑うと、サニーの顔にも笑みが広がった。
「庭にたくさん花を植えたり、スネークにパイを焼いてもらったり」
「スネークがパイを?」
「そうだよ。ここではしないけど、彼は料理が上手なんだよ」
サニーが目を輝かせた。
「素敵」
小さな唇が言った言葉に、オタコンは頷いた。
生きている事は、素敵な事ばかりじゃない……、でも、その為の努力を諦めてしまえば、自分で自分を不幸にするだけだ。
幸せになろう……。
誰もが、幸せになれる、そんな都合のいい世界は無い。けれど、それを願う権利は誰にでもある。
……ねぇ、スネーク…僕達も、幸せを願っていいよね………。
まだ、先は何も見えていなかった。苦しい戦いになる事も判っていた。
けれど、オタコンは目の前の小さな少女の為にも……、晴れ渡った空を思う事にした。
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